マイクロRNAとは?マイシグナル・スキャンの特徴や注意点も解説
癌は罹患率・死亡率ともに高い身近な病であることから、早期発見を目指して様々な検査手法が考案されてきました。
そして、2014年頃から注目されている「マイクロRNA」は、癌の検知に役立つ物質として様々な研究機関・企業が採用し始めています。
本記事では、そんなマイクロRNAの概要や癌との関係性、手軽に罹患のリスクを判定できるがん検査キットについても解説します。
マイクロRNAとがんの関係性
マイクロRNAは人間の血中に含まれる物質であり、近年国立がん研究センターをはじめとする研究機関から注目されています。
なお、マイクロRNAは細胞間の情報交換などを司るRNAの一種。
腫瘍細胞周辺で通常と異なる分泌が見られる特徴があるため、一般的な腫瘍マーカーより早い段階から癌を検知できるとのこと。
すでにがん検査での実用に向けて10,000例近い解析が行われ、早期段階に分類されるステージ0〜2でも90%以上の精度を記録したようです。
参考:血中マイクロRNAによって13種のがんを高精度に区別できることを実証|国立がん研究センター
がん種別まで特定できる
マイクロRNAは腫瘍細胞周辺で特殊な動きを見せることから、がん種別まで特定できる利点があります。
これまで、細かい部位まで判断するには大掛かりな検査が要された点を踏まえると、少量の血液で完結するマイクロRNAはまさに画期的な発見といえるのではないでしょうか。
参考までに、国立がん研究センターが細胞の組成パターンを発見したのは、以下13種類とされています。
- 神経膠腫(こうしゅ)
- 食道がん
- 乳がん
- 肺がん
- 肝臓がん
- 担道がん
- 膵臓がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 卵巣がん
- 前立腺がん
- 膀胱がん
- 肉腫
現在確認されているすべてのがん種別とまではいきませんが、ほぼ全身のがんリスクをリサーチすることが可能であり、医療機関での検診や簡易的ながん検査キットでも活用用途が見出されています。
マイクロRNAによるがん検査キットの仕組み
先ほど触れた通り、マイクロRNAはすでにがん検査の第一線で活用されており、早期発見において高い重要性を担うがん検査キットでも積極的に採用する動きが見られます。
ちなみに、がん検査キットとは自宅で検体を採取し、指定の検査機関へ郵送することで癌のリスク判定が可能なサービスです。
医療機関のように癌の確定診断は行えませんが、高い検査精度を誇るマイクロRNAを用いることで、早期発見に向けた一次スクリーニングとしての効果を発揮します。
すでに東芝などの一流企業も製品化に乗り出している点を考慮すると、今後もマイクロRNAを使ったがん検査キットは増えていくかもしれません。
尿のマイクロRNAをAIで解析するがん検査キット「マイシグナル・スキャン」
マイクロRNAを活用したがん検査キットとして注目を集めているのが、Craif株式会社が提供する「マイシグナル・スキャン」です。
- 運営会社:Craif株式会社
- 販売価格(税込):一回コース:69,300円、定期コース:64,300円
- 対応がん種別:食道がん、乳がん、卵巣がん、大腸がん、肺がん、胃がん、膵臓がん
- 検査手法:専用器具で採尿後に指定検査機関へ郵送
- 検査期間:検体提供から一ヶ月以内
マイシグナル・スキャンはAIを組み合わせた緻密な解析技術を強みとしており、マイクロRNAの検査精度も相まって、すでに様々な医療機関などで導入されています。
ここからは、マイシグナル・スキャンの特徴をより詳しく見ていきましょう。
7種類のがんリスクを調べられる
マイシグナル・スキャンは、マイクロRNAとAIを組み合わせて以下7つのがんリスクを調べられます。
- 食道がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん、胃がん、すい臓がん
なお、マイシグナル・スキャンはがん自体ではなく、種別ごとのリスク度合いを判別できるため、がん検査における一次スクリーニングとしては高い有用性を備えています。
初期症状がほぼ発現せず、検査しにくい位置にあるすい臓の癌もステージ1から検知が可能なので、早期発見を目指すうえで重宝するでしょう。
ただ、上記以外の癌には対応していないため、万全を期すのであれば、他社の検査キットや医療機関での検診も並行するのがおすすめです。
3種類の安価なパッケージを販売している
マイシグナル・スキャンは単体価格で約70,000円とやや高価な部類に入るため、より手軽に一次スクリーニングを行いたいなら、以下の安価なパッケージも検討してみてください。
- マイシグナル・ナビ(税込19,800円):将来発生する可能性がある癌を遺伝子から分析
- マイシグナル・ライト(税込16,800円):全身のがんリスクをチェックできる(種別ごとのリスク判定は不可)
- マイシグナル・チェック(税込16,800円〜):癌の原因になりやすい生活習慣を遺伝子から分析
定期コースの加入でリーズナブルに購入できるので、コストの負担を抑えつつ継続的にリスクを知りたい方には特におすすめです。
採尿で負担なく検査できる
マイクロRNAは血液から分析することもありますが、マイシグナル・スキャンは検体として尿を採用しています。
そのため、一般的な尿検査とあまり変わらない手順で取り組むことが可能で、医療機関での採血のような痛みもありません。
ストレスなく継続利用できるので、本格的な一次スクリーニングとしてはもちろん、初心者向きのがん検査キットでもあります。
多数の特許技術を導入している
マイシグナル・スキャンは出願中も含めて20以上の特許技術を導入したがん検査キットです。
最先端のノウハウを駆使していることから、一定以上の信頼性が見込めるでしょう。
なお、2024年時点では癌以外の疾患に関する特許も出願しており、今後より多彩な検査キットが販売される可能性もあります。
600以上の病院で利用されている
マイクロRNAを用いたマイシグナル・スキャンは、すでに600を超える病院で利用されています。
自宅だけでなく、各医療機関でサポートを受けながら検体を採取することもできるので、初めてでも安心して取り組めるでしょう。
感度・特異度ともに高水準となっている
公式サイトによると、マイシグナル・スキャンは以下の通り高水準の検査精度を備えているようです。
- 感度:98.21%
- 特異度:91.67%
*感度:癌が陽性の人物を陽性と判定できる割合
*特異度:癌が陰性の人物を陰性と判断できる割合
いずれの数値も90%を超えているため、一定の信頼性が期待できるのではないでしょうか。
マイシグナル・スキャンの注意点
マイシグナル・スキャンには様々なメリットがありますが、以下のポイントには注意しなければなりません。
- がん検査キットの価格がやや高め
- 検査期間が少し長い
マイクロRNAがもたらす検査精度はたしかに魅力的ではあるものの、価格は少し高めな印象です。
リスク判定にも一ヶ月程度の期間を要するため、スピーディーに結果を知りたい方は他のがん検査キットも検討した方が良いでしょう。
がん検査キットによるがんの早期発見の重要性
これまで癌は不治の病と言われることもありましたが、医療技術が発展した昨今は十分に完治が見込めます。
ただ、がん細胞は数年〜数十年かけてゆっくり進行していく特性を持っており、自覚症状がないことから、末期になって気づくケースも少なくありません。
なお、末期とされるステージ4になると5年生存率は著しく低下し、その他の臓器にも転移している可能性があるため、当然治療に要するコストはかさみ、完治の可能性も下がってしまいます。
したがって、がん治療においてはステージ0〜2の早期発見、遅くともステージ3までに特定することが何よりも重要といえるでしょう。
そして、マイクロRNAを用いたがん検査キットであれば、定期的に受検し続ければ飛躍的に早期発見の確率を高められます。
先ほど触れた通り、マイシグナル・スキャンにはコンセプトが異なる安価なパッケージも複数あるので、経済的に無理のないペースで実施してみてください。
がん検査キットは癌を確定できるわけではない
マイクロRNAを用いたがん検査キットはいずれも高水準の検査精度を備えていますが、医療機関のように癌を確定することはできません。
がん種別ごとのリスク度合いはわかる一方、「その癌が本当に存在するか」までは、さらに検査して医師の確定診断を受ける他ないのです。
がん検査キットはあくまで本格的な検診に向けた一次スクリーニングと認識しておきましょう。
がん検査キットで低リスク(陰性)でも注意しましょう
先ほど触れた通り、がん検査キットは100%の精度を保証しているわけではないため、仮に低リスク(陰性)判定であっても鵜呑みにするのはおすすめできません。
もし、以下のような症状が発現している場合は、低リスクであっても早めに医療機関の検診を受けた方が良いでしょう。
- 発熱や倦怠感がある
- 体のどこかに痛みを感じる
- 下痢や嘔吐などの症状がある など
また、明確な症状がなくても、がん検査キットの結果に不安を感じる場合は同じく医師に診てもらうのがおすすめです。
がん検査キットの結果を踏まえつつ、早期発見に向けて適切に対処してみてください。
記事まとめ
マイクロRNAは、腫瘍細胞の周辺で特殊な動きを見せることから、様々な研究機関によって解析が行われてきました。
そして、がん検査キットの精度向上には特に寄与しており、現在は大手企業も製品を開発しています。
中でもマイシグナル・スキャンは、7種の癌を同時に調べられ、安価なパッケージならよりコストの負担を抑えられる利点があります。
継続的に実施することで早期発見の確率を高められるので、医療機関での検診も交えつつ、取り組んでみてください。
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