がん検査
血液でがん検査はできる?発見できるがんの種類や検査の精度、費用を解説
血液でがん検査はできる?発見できるがんの種類や検査の精度、費用を解説
mlstaffex

血液検査はがん検査として機能するのか、最新の検査方法とその効果

あなたやご家族の中で、「がん」という診断を受けた方がいらっしゃるかもしれません。

日本人の2人に1人ががんになるとも言われる中、「がんの早期発見にはどんな検査が有効なのだろう」と考える方も多いのではないでしょうか。

特に最近は、「血液検査でがんが分かる」という情報を目にする機会が増えています。

痛みも少なく、手軽に受けられる血液検査で、本当にがんが分かるのでしょうか。

この記事では、血液検査によるがん検査について、実際にできることと限界、費用や注意点などを、最新の医療情報とともに分かりやすく解説していきます。

がん検査について気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

【結論】血液検査で発見できるがんもある

【結論】血液検査で発見できるがんもある

近年、がんを早期に発見できる血液検査の技術が進歩し、特定の種類のがんについては血液検査によって検出が可能になっています。

ただし、すべてのがんを血液検査で確実に見つけられるわけではなく、精度には限界もあります。

ここではまず、血液検査によるがん検査の主な方法と、それぞれで検出可能ながんの種類について解説します。

腫瘍マーカー検査でわかるがんの種類

腫瘍マーカー検査では、特定のがんに関連する物質(腫瘍マーカー)を血液から測定し、がんの可能性を確認することができます。

以下の表では、代表的な腫瘍マーカーとそれぞれが関与するがんの種類についてまとめました。

腫瘍マーカー 主な対象となるがんの種類 特記事項
AFP 肝臓がん 妊娠中や肝炎などでも上昇することあり
CEA 大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん 他のがんや非がん疾患でも上昇する
CA125 卵巣がん 妊娠や月経時にも変動する可能性あり
PSA 前立腺がん 年齢により基準値が異なる
CA19-9 膵臓がん、胆道がん 炎症や胆道系疾患でも上昇することあり
SCC 子宮頸がん、食道がん、肺がん 扁平上皮がんに関連するマーカー

ただし、腫瘍マーカーは、がん以外の理由でも上昇することがあり、あくまでがんの「疑い」を示す指標です。

そのため、がんの確定診断には他の検査(画像検査や生検など)が必要なことを覚えておきましょう。

また、血液検査について、腫瘍マーカー以外にも、がんを早期発見するための技術が進化しています。

マイクロRNA検査と循環腫瘍細胞(CTC)検査が代表的です。

これらは従来の腫瘍マーカー検査とは異なる視点でがんのリスクを検出し、さらにはがんの種類や進行度も把握できる可能性があるということで注目されています。

以下で、マイクロRNA検査と循環腫瘍細胞(CTC)検査について解説していきますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

マイクロRNA検査

マイクロRNA検査は、がん細胞から放出される「マイクロRNA」という小さなRNA分子を検出する方法です。

マイクロRNAは、がん細胞が特定の遺伝情報を発現する際に関与する分子であり、がんの種類や進行度に応じて特定のパターンで変化します。

マイクロRNA検査の主な特徴をチェックしていきましょう。

早期発見に役立つ

マイクロRNAは非常に微量であっても血中に存在し、がんのごく初期段階から検出が可能です。

これにより、症状が現れる前にがんを見つけることができる可能性が高まります。

検出可能ながんの種類

マイクロRNA検査は、消化器系がん(胃がんや大腸がんなど)、乳がん、肺がんなど、複数のがん種に対応するマイクロRNAが特定されています。

そのため、複数のがんのリスクを同時に評価できる点で優れているといえるでしょう。

循環腫瘍細胞(CTC)検査

循環腫瘍細胞(CTC)検査は、がん細胞が血液中に入り込む「循環腫瘍細胞」を直接検出する方法です。

がんの存在をより直接的に把握できるため、がんの診断や治療計画に役立つ可能性が高いとされています。

CTC検査の特長は以下の通りです。

がんの進行度や転移のモニタリングに役立つ

CTCは、がん細胞が血流に流れ込むことで他の部位へ転移するきっかけになると考えられています。

そのため、CTCの数や特徴を測定することで、がんの進行度や転移リスクを把握しやすくなります。

治療効果の評価

治療中にCTCの数を継続的に測定することで、がん治療の効果をモニタリングできます。

治療が効いている場合、CTCの数が減少することが多いため、治療方針の判断にこのCTC検査が利用されるケースもあります。

検出可能ながんの種類

CTC検査は主に進行がんや転移性がんに対するモニタリングに使用されることが多く、乳がんや肺がん、前立腺がんなどの検査に役立つとされています。

血液検査の精度と限界

血液検査の精度と限界

先述の通り、血液検査は、がんの早期発見やリスク評価において非常に有効な手段の一つとされています。

しかし、すべてのがんに対して万能ではなく、検査方法の精度や検出限界に関して注意が必要です。

血液検査の結果は必ずしもがんの確定診断に直結するわけではなく、他の診断手段と併用することが重要ということを念頭に置いておきましょう。

ここでは、各検査方法の精度と、血液検査だけでは診断が難しいケースについて詳しく説明します。

各検査方法の精度

血液検査の精度は、使用する検査方法や対象となるがんの種類によって異なります。

腫瘍マーカー検査、マイクロRNA検査、循環腫瘍細胞(CTC)検査などがありますが、それぞれに検出可能ながん種や精度の違いが存在します。

各検査方法にはそれぞれ強みと弱みがあり、検査の組み合わせや追加の診断が必要になるケースも多いため、医師と相談して最適ながん検査方法を選ぶことが大切です。

腫瘍マーカー検査の精度

腫瘍マーカー検査は、がんの存在を示唆する「腫瘍マーカー」を血液中で測定しますが、がん以外の疾患でも値が上昇することがあるため、必ずしも精度が高いわけではありません。

特にがんが早期であるほど、腫瘍マーカーの上昇が見られない場合もあります。

マイクロRNA検査の精度

マイクロRNA検査は、がん細胞から放出される特定のRNA分子を測定することでがんリスクを評価する検査です。

早期発見の可能性が高いとされていますが、まだ研究段階の部分も多く、がんの種類によっては精度に差が出ることもあります。

循環腫瘍細胞(CTC)検査の精度

CTC検査は、血液中に流れるがん細胞そのものを検出する方法で、がんの直接的な指標を得ることができるため、精度が高いとされています。

しかし、検出難易度が高いためにすべてのがんや早期がんの検出には限界がある点に注意が必要です。

血液検査だけでは診断が難しいケース

血液検査ですべてのがんの確定診断を行うには限界があり、血液検査だけでは診断が難しいケースも存在します。

例えば以下のようなケースです。

  • がんが早期の場合
  • 検出できる腫瘍マーカーがないがん種
  • がん以外の要因で腫瘍マーカーが上昇するケース

それぞれ詳しく解説していきます。

がんが早期の場合

早期がんは血液検査での検出が難しいことが多く、腫瘍マーカーやCTCのレベルがまだ低いため、血液検査では異常が出ないことがあります。

このため、がんの早期発見には画像検査や内視鏡検査など、他の検査と併用することが推奨されます。

検出できる腫瘍マーカーがないがん種

血液検査で一般的に測定される腫瘍マーカーは、特定のがんに対応していますが、すべてのがん種に対して腫瘍マーカーが存在するわけではありません。

そのため、特定のがん種の場合、血液検査の結果が「正常」であっても安心できない場合があり、追加の検査が必要です。

がん以外の要因で腫瘍マーカーが上昇するケース

繰り返しお伝えしますが、血液検査で腫瘍マーカーが上昇しても、それが必ずがんを示すわけではありません。

感染症や炎症、良性腫瘍などの要因でも腫瘍マーカーが上昇することがあるため、血液検査の結果だけでがんと判断することはできません。

このように、血液検査には限界があるため、がんの疑いがある場合は他のがん検査と組み合わせて総合的に判断することが重要です。

血液検査の費用と保険適用

血液検査の費用と保険適用

血液検査の費用は、検査項目の種類や数、実施する医療機関によって異なります。

一般的な費用目安は以下の通りです。

一般的な血液検査

健康診断や人間ドックの一環として行われる場合、3,000円から20,000円程度が相場です。

検査項目が多いほど費用は高くなります。

腫瘍マーカー検査の相場は1,500円~3,000円程度

腫瘍マーカー検査の場合、一般的には、1項目あたり約1,500円から3,000円程度が目安です。

複数の腫瘍マーカーを同時に検査する場合は、セット料金が適用されることもあります。

そのため、具体的な費用は受診する医療機関に直接お問い合わせすることをおすすめします。

保険適用の有無と条件

保険適用の有無と条件

がん関連の血液検査における保険適用については、検査の目的や種類によって異なります。

基本的には、医師が診断を行うために必要だと判断した検査には健康保険が適用され、患者の自己負担額は通常3割となります。

しかし、予防目的や定期的な健康チェックの一環として行う場合、検査が保険適用外となることがあります。

保険適用されるケース

がんの疑いがあり、診断を確定するために必要な検査として、医師が判断した場合、腫瘍マーカー検査などが保険適用される可能性があります。

例えば、がん治療中の患者が治療の効果をモニタリングするために腫瘍マーカーを検査する場合や、主治医ががんの疑いがあると認める場合などです。

保険適用外のケース

健康診断や人間ドックの一環として血液検査を受ける場合は自己負担となり、基本的には保険適用外です。

またがんのリスク評価や予防目的の検査についても、通常は保険適用外となります。

このように、血液検査はすべてのケースで保険適用になるわけではありません。

そのため、血液検査を受ける前に、保険適用の有無を確認しておくことが重要です。

検査の目的や必要性に応じて、医療機関での説明を受け、保険が適用されるかどうかを事前に確認しましょう。

血液検査の受診方法と注意点

血液検査の受診方法と注意点

ここまで、血液検査でがんを早期発見するための方法や種類、検査の精度、費用や保険適用について解説しました。

血液検査を通じて検出できるがんがあることや、血液検査の特徴、費用についてお分かりいただけたかと思います。

ここでは、血液検査を受ける際の流れと、検査前に気を付けるべきことについて詳しく解説します。

血液検査やがん検査をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

血液検査を受ける際の流れ

血液検査を受ける際の流れは、基本的には以下のようになります。

  1. 医師の診察
  2. 検査の種類の決定
  3. 血液の採取
  4. 検査結果の確認
  5. 必要に応じて追加検査

それぞれのステップごとに詳しく解説していきます。

1.医師の診察

血液検査を受けるためには、まず医師の診察を受ける必要があります。

医師が症状やリスクを確認し、適切な検査を提案します。

がん関連の血液検査を受ける場合、がんのリスクが高いとされる人や、がんの疑いがある場合に血液検査が行われます。

2.検査の種類の決定

医師は患者の状態や目的に応じて、必要な血液検査を決定します。

一般的な血液検査から腫瘍マーカー検査、マイクロRNA検査、循環腫瘍細胞(CTC)検査などが検討されます。

3.血液の採取

検査が決定した後、実際に血液を採取します。

通常、採血は腕の静脈から行われます。

4.検査結果の確認

血液検査が完了すると、結果は通常数日以内に医師から説明されます。

腫瘍マーカーなどの検査結果が出た場合、その後の検査や診断が必要かどうか、さらに検討が行われます。

5.必要に応じて追加検査

血液検査の結果によっては、さらに詳細な検査(画像診断や生検など)が必要になることがあります。

血液検査だけでは確定診断に至らない場合があるため、他の検査と併用して総合的にがんリスクを判断することが重要です。

血液検査前の注意事項

血液検査前に注意事項がある場合は、必ず医師や看護師から説明があるはずです。

検査の流れを理解し、注意事項を守ることで、検査の精度を高め、早期発見やリスク評価に繋げることができます。

一般的には、以下を心がけることでより正確な血液検査の結果を得られる可能性が上がります。

  • カフェインやアルコールを含む飲み物は避ける
  • 中止する必要がある薬がないかを確認
  • 検査前の喫煙や飲酒は控える
  • 検査前はなるべくリラックスし、激しい運動を避ける
  • 食事を数時間前から控えることが求められる場合も

受ける血液検査や体の状況によって注意点は異なりますので、検査前に不明点があるときは、医師や医療スタッフに確認してみてくださいね。

血液検査以外のがん検査方法

血液検査以外のがん検査方法

がんの早期発見と診断において、血液検査は重要な手段の一つですが、それだけでは十分とは言えません。

血液検査だけでなく、画像診断、内視鏡検査、生検など、複数の検査を組み合わせることで、より正確な診断が可能になります。

それぞれの検査方法には特徴があり、対象となるがんの種類や状況に応じて適切な検査が選択されます。

ここでは、血液検査以外の一般的ながん検査方法と、なぜ総合的な検査アプローチが重要なのかについて詳しく解説していきます。

画像診断によるがん検査

X線検査、CT検査、MRI検査、PET検査などの画像診断は、体の内部を視覚的に確認できる重要な検査方法です。

特にCTやMRIは、がんの位置や大きさ、周囲への広がりを詳細に把握することができます

また、PET検査は、がん細胞の活動性を評価し、転移の有無を確認するのに役立ちます。

内視鏡検査

胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査は、消化器系のがんを発見する上で非常に有用です。

直接患部を観察できるため、早期のがんや前がん病変の発見に優れています。

また、検査中に組織を採取(生検)することも可能です。

生検(組織診断)

生検は、疑わしい部分の組織を採取して顕微鏡で詳しく調べるがん検査です。

がんの確定診断には不可欠で、がんの種類や悪性度を正確に判断することができます。

針生検や内視鏡下生検など、様々な方法があります。

超音波検査

超音波検査は、乳がんや甲状腺がん、肝臓がんなどの診断に有効です。

放射線被曝がなく、繰り返し検査が可能というメリットがあります。

また、リアルタイムで臓器の状態を観察できます。

血液だけでなく総合的ながん検査が重要

がんの早期発見と正確な診断のためには、血液検査だけでなく、複数の検査方法を組み合わせた総合的なアプローチが重要です。

それぞれの検査方法には長所と短所があり、単独の検査では見落としや誤診のリスクが高まる可能性があります。

また、がんの種類や進行度によって最適な検査方法が異なるため、医師と相談しながら適切な検査の組み合わせを選択することが大切です。

定期的な健康診断やがん検診で異常が見つかった場合は、必要に応じて複数の検査を組み合わせた精密検査を受けることで、より確実な診断が可能になります。

早期発見・早期治療につながる可能性が高まるため、がん検査の重要性を理解し、積極的に受診しましょう。

記事のまとめ

記事のまとめ

この記事では、血液検査によるがん検査について、その可能性と限界を詳しく解説してきました。

血液検査では、腫瘍マーカー検査、マイクロRNA検査、CTC検査など、様々な方法でがんの可能性を検査することができます。

ただし、これらの血液検査はあくまでも「がんの可能性」を示すものであり、確定診断には他の検査方法との組み合わせが必要です。

気になる症状がある場合は、まずは医師に相談し、適切な検査方法を選択しましょう。

免責事項
  • ・本コンテンツの情報は、充分に注意を払い信頼性の高い情報源から取得したものですが、その正確性や完全性を保証するものではありません。
  • ・本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としています。医療上のアドバイスや診断、治療に関しては、必ず医療従事者にご相談ください。
  • ・本コンテンツの情報は、その情報またはリンク先の情報の正確性、有効性、安全性、合目的性等を補償したものではありません。
  • ・本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
ABOUT ME
SUGUME Note
SUGUME Note
スグミーノート編集部
自宅で簡単にがんリスクや様々な病気リスクをチェックできる検査キット、SUGUME。
SUGUMEを展開する株式会社MEDICARELIGHTが運営する『SUGUME Note』は、忙しいあなたの健康をサポートする情報メディアです。
がん検査・検査キット・健康経営、また病気に関する最新トピックスなど、ヘルスリテラシーを高める情報をお届けします。
記事URLをコピーしました