大腸がん検査キットは難しくない。正しい手順で、確実な検査を。
「大腸がん検査キットって難しいのかな…」そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
確かに初めて大腸がん検査キットを使用する場合は、検便シートの設置方法や便の採取量、2日間の採取スケジュールなど、戸惑う点がいくつかあります。
しかし、正しい手順を知っていれば、決して難しいものではありません。
この記事では、大腸がん検査キットの使い方で悩みがちなポイントと、確実に検査を成功させるためのコツを、実践的に解説していきます。
大腸がん検査キットは難しい?初心者が感じる5つの壁
大腸がん検査キット(便潜血検査)の使い方に困っている方は多いのではないでしょうか。
特に初めて使う人は「この採り方で合ってるの?」「ちゃんと検査できてるのかな?」と不安になりがち。
そこでまずは、検便キットの正しい使い方と、つまずきやすいポイントを解説していきます。
検便シートの正しい使用方法がわかりにくい
検便シートは便器の形状によって設置方法が異なります。
和式トイレの場合はお尻側に敷き、洋式トイレでは便器の水たまりに軽く浮かせる必要があります。
水の多いタイプのトイレでは、トイレットペーパーを敷いてからシートを置くと安定します。
重要なのは、シートを水に浸けすぎないことと、便が直接水に触れないようにすることです。
これらの条件が満たされないと、検査の精度が低下する可能性があります。
また、自動水洗トイレを使用する場合は、必ず機能をオフにしてから採便を行いましょう。
便の採取量や部位の判断が難しい
便の採取で最も注意が必要なのは「採取量」です。
少なすぎると正確な結果が得られず、多すぎると容器からあふれる可能性があります。
目安は米粒大ですが、この量の判断が意外と難しいですよね。
また、採取する部位も重要です。
大腸がんの場合、血液は便の内部よりも表面に存在することが多いため、便の表面を複数回こするように採取することが推奨されます。
具体的には、便の長軸方向に5cmほど3本なぞるように採取するのが良いでしょう。
便の状態によっては採取が難しい
便の状態によって適切な採取方法は変わってきます。
下痢の場合は、スティックでかき混ぜるようにして採取します。
一方、硬い便の場合は、表面に少量の水をつけてから採取する方法が効果的です。
便秘がちな方は、採取のタイミングに工夫が必要です。
2日間連続での採取が面倒
検査には2日分の便の採取が必要です。
これは、大腸がんの出血が断続的である場合があり、1回の検査では見逃す可能性があるためです。
ただし、同日に2回採取することは避けてください。
必ず別の日に採取することが、検査精度を高めるポイントとなります。
仕事や予定のある方は、スケジュール調整を事前に行うことをおすすめします。
採取後の検体をどのように保管すべきか迷う
採取した検体の保管方法も重要。
冷蔵保存(4℃)を推奨している大腸がん検査キットが多いです。
冷蔵保存が難しい場合は、室温(20~25℃)での保存も可能ですが、直射日光を避け、風通しの良い場所に保管してください。
高温での保存はしないように要注意です。
30℃を超える環境では、2日目以降急速に検体が劣化してしまいます。
正確な検査結果を得るためにも、適切な保管条件を必ず守るようにしましょう。
便潜血検査2日法で失敗しない方法
「難しい」というイメージがある大腸がん検査キットも、正しい手順を知っていれば落ち着いて進めることができるはずです。
ここでは、検査の成功率を上げるための採取の具体的な手順と、よくあるトラブルの対処法を詳しく説明します。
先述した内容も交えながら詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1日目の採取:失敗しないための準備と手順
まず採取日を決める前に、そもそも2日分の朝の時間が確保できるか確認しましょう。
1日目の採取では以下の点に注意が必要です。
事前準備
- 検査キットの内容物をすべて確認(採便容器、検便シート、説明書)
- 採取容器に名前・採取日を記入
- トイレの形状に合わせた検便シートの設置方法の確認
- 自動水洗の停止方法の確認
採取時の注意点
- 便が水に触れる前に検便シートで受け止める
- 採取容器の先端(綿棒部分)は汚さないよう注意
- 便の表面から満遍なく採取(特に血便のような部分があれば、その部分も含める)
- 採取後は容器をしっかり密閉
できるだけ朝一番の便で採取することをおすすめします。
これは、夜間の休息によって腸の動きが活発になり、より適切な検体が得られやすいためです。
朝は時間に追われがちですが、余裕を持って準備することで、スムーズに採取することができます。
説明書を見ながら一つずつ手順を確認しましょう。
2日目の採取:よくあるトラブルと対処法
2日目は前日の採取から学んだことを活かしながら、基本に忠実に行うことが重要です。
よくあるトラブルと対処法
- 容器の取り違え
→1日目と2日目の容器に採取日を必ず記入 →使用前に日付を再確認 - 採取量の違い
→1日目の量を記憶しておき、同程度を採取 →迷った場合は説明書の図を再確認 - 保管状態の悪化
→基本は冷蔵保管 →室温保管の場合は、直射日光を避け、風通しの良い場所に保管 - 採取のタイミングがずれる
→24時間以内であれば問題なし →48時間以上空けることは避ける
2日目の採取では、1日目に比べて「慣れ」による気の緩みが生じやすいものです。
基本に立ち返り、手順を一つ一つ確認しながら進めることが、正確な検査結果につながります。
2日間のスケジュール管理のコツ
検査を確実に実施するためには、適切なスケジュール管理が欠かせません。
仕事や家事、育児などで忙しい方は、生活リズムを考慮した計画を立てることをおすすめします。
検査を確実に実施するためのスケジュール管理のポイントは以下の通り。
採取日の選び方
- 平日か休日かを考慮して採取日を選択
- 朝一番の排便時に採取するのが理想的
- 外出予定がある場合は、採取を早めに済ませる
- 提出期限に余裕をもたせた日程設定
スケジュール管理のコツ
- カレンダーやスマートフォンにリマインダーを設定
- 前日は十分な睡眠を取り、朝の時間に余裕を持たせる
- 急な予定変更に備えて、予備の検査キットを用意
- 提出方法と提出先の営業時間も事前に確認
特に仕事や育児で忙しい方は、週末に実施するなど、焦らずに採取できる日程を選ぶことをおすすめします。
また、便秘がちな方は、普段の排便リズムを考慮して採取日を決めましょう。
何より大切なのは、自分のライフスタイルに合わせた無理のない計画を立てることです。
検査結果の見方:難しいポイントを解説
大腸がん検査キットを正しく使用できたものの、結果の解釈に戸惑ってしまう方もいるでしょう。
「陽性」「陰性」という言葉の意味や、結果の信頼性について疑問を抱くことは自然なことです。
ここでは、検査結果をどのように受け止め、次のステップに進めばよいのかを詳しく解説します。
陽性・陰性の意味と次のステップ
大腸がん検査キットを使用した結果、「陽性」が出た場合、それは便に血液が混じっている可能性があるということです。
ただし、これが大腸がんの確定診断となるわけではありません。
実際、大腸がん検査キットで陽性判定が出た場合、大腸がんの割合は約2~3%が大腸がんで、2人に1人は大腸ポリープが見つかり、その他は痔などが原因とされています。
陽性の場合は、必ず精密検査(大腸内視鏡検査)を受けることをおすすめします。
この内視鏡検査により、大腸の内部を直接観察でき、必要に応じて組織検査を行うことも可能です。
一方、「陰性」は大腸がん検査キットでの検査時点で便に血液が混じっていなかったことを示します。
しかし、これも大腸がんでないことを完全に保証するものではありません。
早期の大腸がんでは、約半数が便潜血検査で陰性となる可能性があるためです。
陰性でも、便秘や下痢が続く、便が細い、腹痛などの症状がある場合は、医療機関に相談し、必要に応じて精密検査を受けることをおすすめします。
偽陽性・偽陰性について知っておくべきこと
便潜血検査には、「偽陽性」と「偽陰性」という現象があります。
偽陽性とは、実際には大腸がんがないにもかかわらず、検査結果が陽性となることを指します。
これは、痔や大腸ポリープ、食事の影響などで起こる可能性があります。
偽陽性の場合は、不必要な不安や追加の検査を招いてしまうことも。
一方、偽陰性は、実際には大腸がんがあるにもかかわらず、検査結果が陰性となることを指します。
これは、がんからの出血が断続していたり、検体の採取や保存方法が適切でなかったりした場合に起こる可能性があります。
偽陰性は、がんの早期発見の機会を逃す可能性があるため、特に注意が必要です。
なお、便潜血検査の感度(がんを正しく陽性と判定する確率)は約80~90%、特異度(がんでない場合を正しく陰性と判定する確率)は約90%とされています。
つまり、完璧な検査ではありません。
このため、定期的に大腸がん検査キットでスクリーニングをして、検査をして、症状がある場合には医療機関に相談する、という習慣作りが重要です。
また、大腸がん検査キットの精度を高めるために、正しい採取方法や保存方法を守ることが大切です。
結果に不安がある場合の対処法
検査結果に不安を感じる場合は、以下の対処法を考えてみましょう。
1. 医療機関に相談する
結果の解釈や次のステップについては、専門家のアドバイスを受けることが最も確実です。
特に、症状がある場合や、家族歴がある場合は積極的に相談しましょう。
2. 再検査を検討する
1回の検査で判断するのではなく、再度検査を受けることで、より確実な結果を得られる可能性があります。
ただし、陽性の場合は再検査ではなく、直接精密検査を受けることが推奨されます。
3. 生活習慣を見直す
食生活の改善や運動習慣の導入など、大腸がんのリスクを下げる生活習慣を心がけることも大切です。
4. 定期的な検診を継続する
1回の検査結果だけでなく、経年的な変化を見ることも重要です。
定期的な検診を継続することで、早期発見・早期治療の機会を増やすことができます。
5. 症状に注意を払う
便の形状や色の変化、腹痛、体重減少などの症状に注意し、気になる症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
結果の解釈に不安がある場合は、一人で悩まずに医療機関に相談することが最も重要です。
専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応を取ることができます。
記事のまとめ
「難しい」と思われがちな大腸がん検査キットですが、この記事で解説した手順を参考に、ぜひ積極的に検査を受けてください。
40歳以上の方は年1回の検査が推奨されており、実は検査自体は数分で終わります。
早期発見できれば90%以上の確率で治癒が期待できる大腸がん。
たとえ使い方に不安があっても、まずは検査を受けてみることが何より大切です。
かかりつけ医や医療機関に相談しながら、定期的な検査を習慣にしていきましょう。
あなたと大切な人の健康のために、今日から検査を始めてみませんか。
参考サイト
- https://www.hachioji-naisikyo.com/fecal-occult-blood/
便潜血陽性の指摘を受けたら|八王子市のいちょうの森内科内視鏡クリニック|八王子・八王子みなみ野・北野 - https://www.dohtai-clinic.jp/occult/
便潜血陽性と結果がでた場合どうするの?|神奈川県鎌倉市の道躰クリニック - https://www.gutclinic.jp/secondary/
内視鏡による二次検査・精密検査|港区高輪台駅徒歩1分の医療法人社団暁翔会 品川胃腸肛門内視鏡クリニック
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