
がんの主な感染症由来の原因と予防法、特に子宮頸がん、胃がん、肝臓がんに焦点を当てて解説
がんが「感染症」だなんて、なじみないですよね。しかし、がん発症の原因の第1位は感染症であることが分かりました。

出典 : がん対策推進企業アクション ポストコロナのがん対策Vol.3
今までは「たばこ(喫煙)」が、がんを引き起こす原因の1位でしたがニコチンなどの中毒症状として定義づけられ禁煙運動(就業中の喫煙禁止、喫煙所撤廃など)で徐々ではありますが、減ってきているようです。
発がんリスクを減らすライフスタイルも文化として広がり根付いてきています。
近年話題になったのが、座っている時間が長いと不健康になり、がんも増えます。
日本人の座る時間は世界トップクラスの一日7時間以上ですが、コロナ禍での在宅勤務でさらに事態は深刻化しています。
感染の有無を確認し、自分のリスクを知ることが大切ではないでしょうか。
これらがんの原因に変わる、次なるステージに入り、稀少を含め200種類もあると言われている「癌」の中で3つの癌が感染症由来と判り、およそがん発症原因の4分の1がその原因として発がん原因の1位となりました。
科学的根拠に基づきWHOや専門学会(専門医)含め検証された正しい情報です。
具体的に3つの「癌」とは「子宮頸がん」「肝臓がん」「胃がん」です。
日本のがん検診は二次予防。つまり、がんを早くに見つけて治療する。
しかし、先進諸外国では一次予防。がんにならない対策を講じています。
肺がんはたばこを吸わない。受動喫煙を受けないことで肺がんを予防することが出来るように、子宮頸がんは100%HPV(ヒトパピローマウイルス)感染であり、肝臓がんの6割から7割はB型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスによる感染。
胃がんはご存じの様にヘリコバクター・ピロリ菌による感染が98%から99%と言われています。
稀少な感染によるがんもあるようですが今回は多くの罹患者と死に至る3つのがんに限り紹介を致します。
子宮頸がんについて
背景からお話を致しますと、2008年を境に電撃的な人口減少が始まり、社会経済を維持するための労働力確保として高齢者の雇用、外国人労働者、AI活用、女性の社会進出などが進んでいます。
その中で、女性の健康についてクローズアップしますと、戦後と現在の頑張って働いている女性の栄養状態を比較すると、現在の働く女性は飢餓状態と言われています。
仕事過多や過剰なダイエット、偏った食事、西洋文化食、運動不足、誤った紫外線対策など危険な状況と警鐘が鳴らされています。
「癌」について話を戻すと、女性特有のがんは若年化しています。
がんは「経年劣化」つまり、通常は年を取ることで発症すると考えられてきました。
しかし、繰り返しますが、女性特有のがんは若年化しています。具体的には子宮頸がんと乳がんです。
子宮頸がんは20歳から発症し、30歳代が発症のピーク。乳がんは40歳代が発症のピークです。
若年化が進み企業では「在職中」ですので、「健康経営(健康管理)」にも大きな影響が出ています。
科学的な根拠(検証)として、若年化の理由は晩婚化と高年齢出産に伴う女性ホルモンにさらされている期間が長くなったことが大きな原因と言われています。
昭和初期までは1家族5人以上の子供を産んでいましたので、エストロゲンは出産時分娩の進行を促進させるために急激に減少するなど各種ホルモンの分泌が増加減少することで、長期ホルモンにさらされることがありませんでしたが、近年出産回数が減少し、出産時期が遅くなったためにこのようなリスクが起きてしまいました。
もちろん出産回数が少なくなり、高齢化していることが社会的に悪いわけではありません。
生物学的にご自身の体調変化についてのリスクをご理解頂きたく客観的な事実を受け止めて頂ければと存じます。
そこで、リスクや原因が分かれば対策を講じることが出来ますので前向きにリスク管理が出来ればご案内致します。
子宮頸がんの原因は性交渉による100%HPV(ヒトパピローマウイルス)による感染です。
生涯、性交渉経験のある女性の85%は感染すると言われています。
但し過剰に心配してはいけません。ほとんどは免疫等による自然治癒をします。
しかし、一部が癌化し、若年で人生を終える悲しい事象が女性が罹患するがんの中で第5位。若年で発症する第1位とも2位とも言われています。
Z世代やAYA世代。つまり、ヤングアダルト。具体的には20歳から39歳ぐらい。40歳代まででしょうか。
若返り化している人類において、50歳代でも60歳代でも乳がんなど心配ではありますが、娘さんやお嬢さんに対する社会的支援(公的検診・企業支援・教育)を始め、正しい情報の啓発が必要と思われます。
国の公的検診は2023年度から9価のワクチン接種の奨励を、性交渉を行う前の若い世代である中学生、高校生等に始めました。
ワクチン接種は国際的に奨励をされており、副反応に対しそれ以上の予防ができるとの科学的根拠に基づき、日本人に多い2価、4価のワクチンが今まで行われきました。
ワクチン接種で多くの予防ができるものの、HPVは200種類以上異なるタイプがあり、その中でも日本人に多いタイプがワクチン化されており、6割程度予防ができるとされていましたが、2023年度から9価のワクチンの導入により9割近く予防できると推奨されています。
ちなみに2価、4価、9価とは2種類のHPV(ヒトパピローマウイルス)用のワクチン。
4種類のHPV用のワクチン。9種類のHPV用のワクチン。の意味です。
しかし、ワクチンは性交渉前の学生に対する公的支援ですので、この対象でない年齢の方はどうすればよいのでしょうか。
それは検診です。
日本の制度は世界に誇れる検診制度があり、全国どこで生活していても20歳から子宮頸がん検診が公的補助で受けられます。(自治体により全額補助。一部負担金あり。など、要ご確認)
しかし、この公的検診の受診率が極めて低い事情があります。
それは、Z世代にとっては耐え難いものとの意見が出ています。
子宮頸がんの検診は「細胞診」。かみ砕いて説明をすると、膣部分にスワブ(巨大な綿棒としてイメージ下さい)を入れます。
そこで、膣内部のどこにがんがそもそもあるのかないのか。あるとしたらどの辺にあるのかを想定してがん細胞をこそぎ取る。(削り取る)
実施した女性でないと話せませんが、つまるところ、20歳代ではがんとはほど遠い。
知らない病院で事務的に膣部分に対しての検査が「恥ずかしい」。
こそぎ取るとはつまり「痛い(時に出血を伴う)」ため、継続検査が難しいとされています。
時に芸能人が子宮頸がんをカミングアウトして社会啓発をされていますが、若くして検査をして恥ずかしく、その後検査をしていなかった。
30を過ぎ異変を感じて検査したところがんが見つかった。検査を継続していればよかったとカミングアウトされていました。
しかし、ポイントは、まさか自分ががんだなんで。しかも若いのに。さらに痛く恥ずかしい。
これでは検査を継続することは難しいと言わざるを得ない。
そこで、政府は2025年度から細胞診に加え、HPV感染検査も同じ推奨グレードで運用開始されると発表されました。
ただ、知らない医療機関でスワブを使う点では変わりなさそうな。
ただ、細胞をこそぎ取るのではなく粘液をぬぐい取るのであれば出血や痛みは無くなるのではと開始前ですが推測されます。
否定的な話もしてしまいましたが、検査は重要です。
なぜならば子宮頸がんの別名は「Mother Killer」(マザーキラー)。
若くに発症するため、幼い子供と夫を残して先に人生を終えてしまう。あってはならないことだから。
こうならないために検査は重要なのです。
みなさんイメージしてください。
社会で活躍して責任ある仕事も任される世代となり、一定の収入を得、社会で楽しむ方法を学び、パートナーを見つけ出産を迎える。
その直後に家族を残して人生を終える。
まるで映画のような方が既に何人も起きているのです。
他人事ではありません。まさに「わずかな知識と行動で運命が変わります」。この知識とは簡単な「学習」。
そして行動変容を起こし、実践することです。
「学習」と言っても競争して1番を取るものではありません。
検査が重要。それは何故かを知るだけです。
大手企業では啓発と実践をしていますが先の理由で受診率は低い。
中小企業で働いている又は専業主婦のご家族は情報が行き届いていません。よって、受診率が低い以前のお話です。
企業の視点で申し上げれば、女性を対象にした健康経営としては新入のリクルートを含め企業の付加価値を得ることができます。
就業中のがん職員発生を予防できます。
労働力不足を補う現在、職員やパート、家族を守ることの重要性を補完します。
国立がん研究センターは子宮頸(けい)がん検診として、がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかどうかを調べるHPV検査を新たに推奨するとの指針案をまとめた。
主に海外の研究で、がんになる人を減らす効果が確認できたのが理由。
子宮頸(けい)がんの説明
子宮の入り口部分に当たる子宮頸部にできるがん。
日本では年に約1万人がかかり、約2千人が亡くなる。加齢とともに増える他のがんと違い、50代以下の比較的若い世代にも多く発症する。
性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が引き起こすことが知られている。
大抵は免疫がHPVを排除するが、感染が続くとがんになる可能性が高まる。
感染を予防するワクチンがあり、費用も助成されるが、厚生労働省は副作用の訴えが相次いだことを受けて接種勧奨を中止していた。
20歳以上に細胞診を2年に1度。過去2年の検診受診率は約36%。国が掲げる目標の50%を下回っている。
がんの種類・進行度別10年相対生存率(2008年診断例)子宮頸がん(%)
- ステージ1:92.9
- ステージ2:71.9
- ステージ3:54.6
- ステージ4:16.9
- 平均年齢54.3
毎年100万人以上が新たにがんと診断され、その約3割が働く世代(20-64歳)。
子育て世代の親ががんと診断されるケースが増加しており、18歳未満の子を持つがん患者は年間約56,000人。その子供の数は約87,000人もいます。
がんになった親の平均年齢は男性46.6歳。女性43.7歳。子供の平均は11.2歳。
0歳から12歳までが半数を超えています。
次は胃がんを引き起こしたまさにこれこそがパンデミックと言えるのがヘリコバクター・ピロリ菌感染です。
東アジアに生息するH.・ピロリ菌が強毒性であり、胃がんは東アジア特有の病気と言われております。
胃がんは欧米では稀な病気とされています。
今ではアジア圏の方々が世界に広がり、世界各所で胃がんが問題となっています。
諸外国では胃がんは不治の病とされています。日本でも3,500万人もの感染者がいる模様です。
胃がんは年間12万人以上が罹患し、4万人以上の命を落としています。
しかし朗報です。
高齢化で増え続ける各種がんではありますが、発症も死亡者数もベスト3位に入る胃がんではありますが、唯一発症者もこれに伴う死亡者も減少し始めています。
その理由は胃がんの原因がH.ピロリ菌と判明したからです。
ピロリ菌を確認して除菌をすれば容易に問題解決となります。
ピロリ菌はウイルスではなく細菌ですので抗生物質(薬剤)で除菌できます。
日本は胃カメラ発症の国ですので手術で開腹しなくても症状によっては日帰りで検査が出来てしまいます。
因みに日本は世界に先駆け内視鏡技術が進んでおり、世界シェアの99%が日本の企業なんです。
だから、仮に癌になっても日本であれば早期で見つけ治療することが出来るんです。
よって、日本でいる限り胃がんで死ぬことはもうありません。更に企業では定期的なバリウム検査も生涯不要となり、大幅な費用削減にも寄与します。
大人はH.ピロリ菌に感染しないため、今現在感染しているかどうか生涯1回の検査で対策型検診においてバリウム検査が生涯不要と経済的にも三方良しの事業と言われています。
既に1,000万人もの国民がH.ピロリ菌を除菌完了しています。
これらの方はヘルスケア意識の高い方や大手企業の健康保険組合からの保健事業や症状があり医療機関に受診された方でした。
しかし、現在ピロリ菌除菌は頭打ちとなり、ピロリ菌除菌事業は停滞しているのが現状です。
多くの命と経費を削減できる事業なのに大変もったいないと言えます。
では胃がんとH.ピロリ菌の関係やその対策について以下に述べます。
H.ピロリ菌の感染は井戸水が生活用水とされていた時代。
冷蔵庫がまだ普及していなかった公衆衛生が今よりも格段に低かった時代の幼少期の子供が感染していたため、高齢層が多く感染しています。
年齢と共に徐々に感染者は減り、30年後には日本から胃がんは無くなるとも言われています。
きっと稀少がんの1つとなることでしょう。
さて、H.ピロリ菌に感染すると100%慢性胃炎なると言われ、胃にまつわるおよそあらゆる病気が、H.ピロリ菌感染が原因となって発生し、この際、ピロリ菌未感染であれば胃炎程度のものが胃酸やストレスで胃の粘膜が耐え切れず胃潰瘍となるようです。
慢性胃炎から萎縮性胃炎に進行する確立は85%程度と言われ、萎縮性胃炎は高齢になっても除菌により改善するものの、約85%が感染から20~30年かけて萎縮性胃炎から胃がんに移行すると言われています。
ピロリ感染性胃炎などピロリ菌感染に伴うピロリ菌の除菌は2013年から保険適用されるようになりました。
保険適用から3年後には胃がんで亡くなる方は7%も少なくなりました。
日本は医療環境が優れているため、5年生存率は60%ですがステージごとの5年生存率はⅠステージ95%。Ⅱステージ80%。Ⅲステージ50%。Ⅳステージ5~6%。
日本では早期発見が可能であり、優れた胃カメラ技術があります。日本でのみ内視鏡手術が行なわれ、短期入院、患者への負担が少ないのも特徴です。
公的対策型(集団による)胃がん検診(バリウム検査)の成績は、2007年度自治体による地域検診2,778,953人。
企業による職域検診3,403,830人。
合計約620万人受診。胃がんの発見率は0.088%とおよそ5500人でした。
1年間で胃がん患者は13万人以上と言われております。多くは医療機関で発見されていることになります。
内視鏡を使った胃がん切除術は世界でも日本だけでしか出来ないと言われている治療法です。
その理由は胃癌は東アジア特有の病気であり、日本人は手先が器用であるので、胃カメラの操作がうまい。こんな理由とのことです。
萎縮性胃炎の程度が弱ければ弱いほど、胃がん予防へのピロリ菌の除菌効果は上がりますので、20歳代でピロリ菌感染者は除菌しておけば、胃がんはほぼ100%といっていいほど予防できるとまで言われています。
胃がんだけではありません。
胃の症状の全てと言っても過言ではなく、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発もなくなるとまで言われており、ピロリ関連疾患も消失するなど良いことばかりです。
言い換えれば胃がんは年間3000億円の診療費がかかっていることから医療費の大規模な抑制につながるわけです。
まさに医療の現場ではエポックメーキング。画期的な新時代を迎えたと言えます。
我が国では高齢者人口が増加しているためがん死亡者数を10%減少させるのは不可能と断定してきましたが、胃がん死亡者数だけが減少しており、15年には7%もの減少を示している。
これは全て慢性胃炎に対するピロリ菌除菌が保険適用になった恩恵と言えるのではないでしょうか。
一次予防を行うことによって予防が確実に可能となるがんは、感染症由来のがんと喫煙による肺がんしかありません。
1983年にわが国では老人保健法が施行。法律に裏付けられたがん検診として胃がん検診と子宮がん検診は始まりました。
1987年には肺がん検診と乳がん検診が、1992年には大腸がん検診が開始され、現在5つのがん検診体制が整備されていますね。
感染症由来の肝がん対策は、長期にわたって増加を続けてきた肝がんの死亡者数が2005年を境に減少しはじめた。
肝がん対策において検診ではなく、感染症対策に舵を切ったからです。
二次予防の検診(がんを早期で見つける)ではなく、一次予防(がんにならない対策)の肝炎・肝がん対策を優先させたことが成功の大きな要因と言われています。
まだ、肝炎患者はたくさんいますので、スクリーニング検査を是非行っていただきたいものです。
あらゆる病気の死亡率を集団レベルで下げることができる唯一の医学的介入は「予防」であることがはっきりと認識されたと言えますね。
わが国のがん対策の遅れは二次予防にのみに偏してきた対策に基づくことが強く示唆されています。
胃透視(バリウム検査)の感度についてはどうだろうか。胃がん検診の有効性に疑問が呈されているという。
間接撮影のフィルムは小さいうえに撮影枚数が少なく撮影技術の優劣が現れやすいので読影が難しいとも言われている。
粘膜内がんの診断は至難のわざと聞いたこともある。
バリウムの便秘症状、二重造影の際の体位変換の問題(テーブルからの落下で過去に死亡事例もある)、被ばく量の問題として直接撮影の何倍も高い。
新しいデジタル撮影の機器の進化もありますが、受診者にとって、事前の確認と選択は無いようだ。
自然界のように毎日少しずつ放射線を受けるのと、検診時のように一気に多くの放射線を浴びるのとでは、遺伝子に与える影響も異なると言えるのでは。
胃がんでいのちを落とさないために最も重要なこととは、自分がピロリ菌に感染しているかどうかと、自分の現在の胃粘膜の状況を的確に知ることではないでしょうか。
胃カメラ技術を日本のどこの医療機関でも受診できるため、わが国だけが胃がんを撲滅できると言えます。
わが国の胃がんの原因の大半はピロリ菌感染であることが明らかになっている以上、これを無視して対策を行うのは非科学的な取り組みと言わざるを得ないのではないでしょうか。
実際、肝がんは2002年より肝炎ウイルス対策を行い、確実な成果を上げていますね。
ピロリ感染胃炎は除菌により1か月以内に完治様です。
団塊(だんかい)の世代(同級生が数百万人生まれた世代)が65歳を迎えまもなく75歳に到達します。
胃がんの死亡者は増えはじめ2020年には6万人に達する可能性が高いと考えられていましたが、ピロリ菌感染胃炎の除菌が保険適用になってから5年でおよそ800万人が除菌されたことで、胃がん死亡者数2013年48,632人。
2014年47,903人。2015年46,679人。2016年45,531人。2017年45,226人と、全てのがんは増え続けている中、胃がんは唯一減少を見せています。
ピロリ菌感染胃炎がなければ胃がんになる可能性は限りなくゼロに近くなると言えるのではないでしょうか。
漫然とバリウム検査のみ行う胃がん検診は今の時代ほとんど意味を持たないと専門医が警鐘を鳴らしています。
出典:「胃がんは「ピロリ菌除菌」でなくせる」「胃がんでいのちを落とさないために」北海道医療大学学長 浅香正博 先生著書から一部抜粋
このように対策を講じることのできる感染症由来のがんはわずかな知識と行動でそのリスクを大きく減らすことが出来ると言えます。
さて、戦後昭和の時代から寿命の延伸で今まで考えなくてよかった病気である「がん」が目立ち始めています。
がんはいまだにがんと不治の病と思われている節があり、がんと診断されて34%が退職・解雇され、その32%は診断確定時。
診断から最初の治療まで9%が退職。
4割以上が治療前に退職されているようですが、がんは早期であれば9割以上治る病気であり、現在ではがんサバイバーとして社会で変わらず活躍されている人はたくさんおられるようになりました。
既に全国約330の市区町村(地方自治体)や主に大手企業健康保険組合では既にピロリ菌の検査を任意に進め、既に1,000万人もの国民がH.ピロリ菌の除菌を終えています。
H.ピロリ菌の保菌者は早期に薬で除菌をすればその除菌率は高く、生涯胃がんに罹患する確率も低くなります。
企業ではローリスク者、つまりH.ピロリ菌が生まれて今まで感染したことの無い未感染者はバリウムなどによる対策型(集団)検診は生涯不要。
つまり大幅な費用削減と健康経営の推進。誰も損をすることの無い。人生100年生き抜く上で知らないと大変もったいない情報です。
国が推奨していない理由は、除菌後の延命効果を現在科学的に検証しているからです。
国の検証成果にはまだ時間がかかります。
この瞬間にも全国で胃がんになっている方々の時間を無駄にしない為に任意に今できる検査が進んでいます。
ピロリ菌がスクリーニングされた場合、2013年からピロリ菌除菌は保険適用ですので経済的にも負担は少ないです。
スクリーニング検査の後に確定診断を医師が行い確定診断がなされれば3種類のお薬を1週間服用するだけで通常H.ピロリ菌の除菌が出来ます。胃は年をとらない臓器です。
20歳の胃と80歳のそれぞれ健康な胃を解剖して、専門医にどちらが20歳の胃かと見て頂いても分からないそうです。胃は100年不変と言えますね。
視点を変えてみてみましょう。
胃(Stomach)は「喜びの臓器」と言えます。
人だけが作り上げた価値観「美食文化」。おいしさをもたらしてくれるのは「舌」「脳」だけではないようです。
人を幸せにするのは「胃袋」である。
胃は食への喜びをもたらす臓器と言っても過言ではないようです。食事をとった時の満足感や幸福感は、胃から脳にシグナルを伝えているからです。
一方で胃は心を写す鏡でもあり、この時代に生きる10人に1人は胃に不調を訴える現代にもなっています。
胃は食べた物を消化するだけでない胃の本当の姿とは「生きる喜びを創る臓器」です。
例えば、胃がんになり胃を全摘をした患者は食事への喜びを失います。それは、胃が単なる消化器官ではなく、ある重要なホルモンを分泌しているからです。
そのホルモンは「グレリン」と言います。このグレリンは9割以上が胃で産生されます。
グレリンは単に食事を促すだけでなく、食事に伴う幸福感のシグナルも脳の報酬系に伝え、ドーパミンが分泌される。胃を全摘出した患者さんは食事への喜びは記憶の中にしかない。
グレリンは脳に働き、成長ホルモンを分泌し、筋肉量増加など適正な体の維持も果たしています。
1970年代ごろから動物性脂肪の摂取量が増え胃酸の量が近年増えてきました。
胃がん、胃潰瘍、胃炎などの胃の病気が何故起こるのかわかりませんでしたが、近年のこの発見で消化器内科にとってブレイクスルーとなりました。
つい昭和初期まで寿命が50歳程度であったものが寿命の延伸と共に、胃がんの発症や死亡例が顕著となりました。
胃がんのおよそ99%の原因はピロリ菌であることが報じられ、若年層で除菌できれば生涯胃がんに罹患しないと専門医は言います。
ピロリ菌感染者はピロリ菌除菌後も継続的に胃カメラ検査をすることで胃がんに罹患しても早期発見で命を亡くす時代ではもうない。僅かな知識と行動で人生は変わります。
厚生労働省が推奨している自治体の胃がん検診の検査手法はバリウムと胃カメラ検査で、どちらも40歳未満の方は原則対象外です。
しかし、H.ピロリ菌感染者はより早い段階(但し胃カメラ検査ができる年齢)で除菌を行う事で、生涯胃がんにならないとも言われています。
社会では新入社員の入社時健診時が好ましいのではないでしょうか。
ただ、胃に症状がある場合は速やかに専門医にご相談頂きたいです。
若年での早期除菌は除菌率が高いのでさらにお勧めする理由の一つとなります。
癌の発症年齢に近い中高年層は速やかに検査を。若年層はおよそ20歳を過ぎたら生涯に1回のこのピロリ菌検査をしておくと良いでしょうね。
最後に肝臓がんについてです。
肝臓がんの原因の6割から7割はB型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスの感染と判りました。
お酒の飲みすぎについて否定はできませんが都市伝説化しています。
2023年度初頭に労働局から企業に向けて肝炎検査の推奨についての通達が発布されました。
まず、B型やC型肝炎ウイルスは、日常生活では感染しないとされていますので1回の検査は早くに実施しておきたいです。企業が福利厚生で通達に従い実施して下されば効率的なのですが。
B型肝炎予防はワクチンで対応が可能。C型肝炎治療は早期であることも含め条件はありますが、3か月程度の薬物治療で完治できる時代となりました。
すい臓同様に肝臓はまさにもの言わぬ臓器(沈黙の臓器)と言われており、症状が出たときは遅いと言わざるをえません。以下はC型肝炎につてみてみましょう。
日米における肝がん発生率の違いから。
アメリカ | 日本 | |
---|---|---|
総人口 | 2.5億人 | 1.2億人 |
HCV感染者 | 400万人 | 200万人 |
HCV感染率 | 1.7% | 1.7% |
肝細胞癌 | 1万人 | 4万人 |
(内C型) | (40%=4000人) | (90%=36000人) |
C型肝がんの比 | 1 | 9 |
C型肝がんの人口比 | 1 | 20 |
HCV(C型肝炎ウイルス)感染は血液を介する感染ですので、日常生活では感染しない。HCVは血管に入らないと感染しないようです。
日常生活 | 0~1% | |
---|---|---|
性感染 | 0~1% | |
母児感染 | HIV- | 0~5% |
HIV+ | 60~80% | |
医療行為 | 針刺し事故 | 0~5% |
入れ墨 | 30~50% | |
静脈注射 | 50~70% | |
輸血 | ~100% |
次に日本におけるHCVの拡散要因について1920年代静脈注射・住血吸虫。
1940年代は戦争に伴う「ヒロポン(覚醒剤)」の横行と1960年代は輸血・買血により感染拡大しました。
1980年以降はHCV抗体スクリーニングにより拡散停止となり、日本における肝がんは明らかに減少してきました。
しかし、生活習慣病関連に伴う肝炎が増加してきているようです。
注意が必要です。
以上今回は癌の原因が約25%を占め1位となった感染症。
その中でも3つの感染症について、胃がんはピロリ菌感染。肝臓がんはB又はC型肝炎ウイルス感染。
この2つは通常生涯1回の検査ですのですぐに実施しておきたいものです。
子宮頸がんはHPV感染ですので定期的な検査が重要とご案内申し上げました。
これらを知らない人と比べ25%近くもがんを避ける又はがんになっても早期で対応することが出来、命を無くすことは通常無いと言えるのではないでしょうか。
参照:平成25年度厚生労働省第3次対がん総合戦略研究推進事業市民公開講演会
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