寿命延伸時代における日本のがんと生活習慣病の現状、その予防と早期発見の重要性
人生80年と言われていました。
正確には男性は81.06歳・女性:87.09歳。(参考:厚生労働省の「簡易生命表(令和4年:2022年)」)
しかし、近年驚くべき研究発表がされました。経産省の試算では現在20歳の方は104歳まで生きられるとのことです。
英国のリンダ・グラットン教授によれば、2007年に日本で生まれた子どもについては、107歳まで生きる確率が50%もあるという。
こうした展望に対応し、政府は有識者を集めて、将来の超長寿社会の教育、雇用、社会保障のあり方などを議論する「人生100年時代構想会議」をスタートさせました。
少し振り返ってみましょう。
社会の教科書で学習した縄文、弥生、古墳、室町の各時代の寿命は30歳~33歳程度。(諸説あり)
江戸時代に入り45歳と延伸。
明治、大正、昭和11年頃で43歳~48歳。昭和22年で52歳。さらに60年が経過して平成19には82歳まで延伸して現在に至ります。
わずかな期間で寿命は飛躍的に延伸していますね。ただ人間種という動物の細胞学検知から120歳までが最長とのことです。
さて、人は120歳を待たずに人生を終えています。ではどのような理由からでしょうか。
年間150万人以上(年々死亡者数は電撃的に増加中)が亡くなっています。
その原因の1位はご存じの様に「がん」により4分の1を占めています。
次に心臓病や脳血管疾患などの動脈硬化系の疾患が4分の1。
あとは様々エトセトラ。
ちなみに老衰は11.4%。果たして寝たきりでなく、望まれる「ぴんぴんころり」は何パーセントでしょうか?(厚労省2022年 人口動態統計から)
そもそも、がんや動脈硬化系疾患はどのようにしてなるのでしょうか。
それは、生活習慣病。昔は成人病と言われていましたが、成人前の子供も罹患するようになり、1997年に名称変更されました。
名称はともかく、生活習慣病とは何を指すのでしょうか。詳細は多岐に渡りますが、ここでは3大生活習慣病を列挙致します。
1に糖尿病。2に高血圧症。3に脂質異常症となります。
では日本国民が罹患しているこの3つの疾病はどのくらいの方が罹患しているのでしょうか。
糖尿病は予備軍を含め2,000万人。高血圧症は4,300万人。脂質異常症は3,000万人と驚くべき数です。
気にかかることは健診受診者が対象の半数しか受診しておらず、このように異常所見があるにも関わらず多くの方が治療を受けていないことです。
治療を受けない理由は簡単です。これら生活習慣病は重症化するまで症状があまりないからです。
これら疾患で共通することは血管に関わる病気という事です。
かみ砕くと、糖尿病は血管が壊れます。高血圧は血管を破裂。脂質異常は血管を詰まらせる。
機序は異なりますが血管がダメになり、命に係わる重篤な疾病へと移行します。
免疫も低下して「がん」も罹患しやすくなるわけです。
本日は国もメタボリックシンドローム対策(先の3つの疾病)を中心に最大の目的は糖尿病対策として健診を義務付けています。
ちなみに会社の健診(労働安全衛生法)は職員も受診義務がありますが、市町村が実施している住民健診(高齢者の医療の確保に関する法律)は任意であり受診義務がありません。
ただ、市町村にペナルティが課せられます。これは施行する法律が異なるためです。
話を戻します。
個人の皆様にとっての情報として糖尿病についての基礎情報をご案内致します。
まずは何故罹患するのか。
それは、食生活の変化(外食・間食の増加)、運動不足、ストレス、喫 煙、睡眠不足、在宅勤務(座位含)等が挙げられます。
自動車産業には申し訳ないのですが、車の販売台数と糖尿病患者数が同じ伸びであるのもなんとも皮肉です。
糖尿病患者の増加を表したグラフになりますが、実はこの糖尿病の増え方は自動車の累積販売台数と一致すると言われています。
もちろん自動車産業が悪いわけではありません。
毎日何時間もSNSをしていたり、豊かな偏った食事などと引き換えに疾病という形で帰ってきてしまっています。
太く短い人生か。長く豊かな人生か。
ただ、太く短い人生を選択した場合、最後に大きな課題を背負うこととなります。
疾病の重篤化に伴う経済的な問題や活動の自由の制限と終末期には凄まじい苦しみが待っており、家族や仲間にも負担を強いります。
ご自身だけの問題ではないことを是非イメージして頂き、長い豊かな生活を選択して頂きたいです。
では、具体的にどのような苦しみがあるのか、もう一歩踏み込んでみましょう。
糖尿病1つの疾病だけの話ですが、糖尿病が進行すると、糖尿病性の腎障害(CKD:慢性腎不全)に進み、透析に移行します。
つまり毛細血管の塊である腎臓の腎機能が果たせず、毎日の老廃物がろ過できなくなり、1週間に2、3回透析を受けなくてはなりません。
大変失礼ですが、年間の医療費は1人当たり500万円と高額で医療費を圧迫します。
これだけではありません。
視力。つまり、目の奥は毛細血管でできていますので、失明し、さらに指や足先の毛細血管が壊れれば、指を切断。
いづれ大きな血管である心臓の冠動脈や脳血管が壊れれば死に至るエンドポイントを迎え、その対応、延命処置に巨額な医療費が費やされます。
破綻寸前の医療費(医療制度)を持ちこたえる為にも疾病管理をして頂き、これからの若い世代に希望や世界に誇れる日本の医療制度を保持していきたいものです。
いや、保持しなくてはなりません。
糖尿病になると余命が12年から15年も縮むと言われています。
糖尿病は遺伝の要素もありますので2親等において糖尿病罹患者がいないか。いれば発症しないように一層気を付けなくてはなりません。
さて、最も気になる疾病は先の述べた「がん」ですよね。
がんは死に至ると思い込んでしまっています。
現代の正しい知識として「がん」は早期発見で9割以上救われます。
つまり、治癒すると言えます。
正確には胃癌は97.6%。大腸がんは98.2%、乳がんは98.8%と高い生存率です。がんと宣告されても早期であればとても安心できます。
ここからは、「がん」の基本を理解しておきましょう。
がんは細胞の「経年劣化」です。
だから年を取ればがんになります。寿命が延びればがんは増えます。
人間の体は37兆2000億個の細胞でつくられており、およそ100日で新しい細胞に生まれ変わっています。
つまり、毎日3000億個以上の細胞がこの瞬間にもコピーされ、新しい細胞が生まれているのです。
しかし、さすがに3000億個以上もコピー製造していては、およそ毎日5,000個のコピーミスが発生しています。
かみ砕くと、毎日5,000個の癌細胞が出来ているという事です。
しかし、人間の体は何十もの免疫等の防御体制を敷いており、常に5000戦勝0敗を繰り返しています。
しかし1敗を期し、偶発的な事象の繰り返して「癌」が出来てしまえば、このがん細胞は2個、4個、8個、16個・・・と分裂を始め、30回程度繰り返すことで1cm。
つまり、現代科学で発見できる大きさ。
そう、早期がんとして発見できる大きさに十数年から数十年かけて大きくなります。
しかし、1cmから2cmの大きさになる1年から2年の間の検診で見つけないと、2cm以上の大きさになると全身転移となり、重症化してしまいます。
ここで重要なのは、50歳になったから。60歳で還暦だから。がんは高齢者の病気だからと節目で検診を受けては意味がありません。
1cmから2cmに育つこの1年で見つけなくてはならない。つまり、毎年定期的な検査を受診することが重要であるという事です。
医療機関から国へのがん報告は2016年から義務化され、年間99万人の日本国民ががんに罹患していることがわかりました。
日本の人口はおよそ1億2,500万人ですので、125人に1人が罹患していることになります。
次にがんによる死亡者数とは申しますと、およそ38万人です。
これを365日で割るとざっくり毎日日本のどこかで1,000名もの方ががんで亡くなられている計算になります。
誠に不謹慎ですが、ジャンボジェット機が毎日2機墜落していることとなり、飛行機が墜落すると世界的なニュースになりますが、がんで亡くなる方がこれだけいても、もうニュースにはならなくなっています。
では次に若年化するがんについて、企業では人材確保のために定年延長を進めていますが、それ以前に、働く人の病死原因の9割が癌であること。
今後定年延長で更に増えることが予想され、企業価値にまで影響することでしょう。
次に女性特有のがんについてですが、若年化が進んでいます。
女性の社会進出。少子化対策の折、女性職員や奥様、お嬢様などのご家族に対する健康増進に注視しなくてはなりません。
その理由は、子宮頸がんの政府の予防対策は2023年度からワクチン接種を再推進していますが、受診者は低迷中。
子宮頸がんは20歳代から発症し、30代が発症のピークです。
企業の視点から「在職中」であることが大きな課題ということを多くの経営者は理解していません。
つまり女性を対象にした健康経営としては新入のリクルートを含め付加価値を得ることができます。
労働力不足を補う現在、職員やパート、家族を守ることの重要性を理解しなくてはなりません。
子宮頸がん検診は20歳から自治体で受診できますが、その検査は痛い。(時に出血を伴う)
恥ずかしい等で受診率は低迷しています。
働く女性の健康について、戦後と現在の活躍している女性の栄養状態を比較すると、現在の働く女性は飢餓状態とのことです。
仕事過多や過剰なダイエット、偏った食事、西洋文化食、運動不足など危険な状態と言えます。
さらに女性特有のがんは若年化している理由は晩婚化と高年齢出産に伴う女性ホルモンにさらされている時間が長いことが大きな原因と判りました。
しかも100%HPV(ヒトパピローマウイルス)による感染です。
2025年度からこのがん検診は細胞診に加えHPV感染の検査も同じ推奨グレードで運用開始されるようです。
毎年100万人以上が新たにがんと診断され、その約3割が働く世代(20-64歳)です。
子育て世代の親が がんと診断されるケースが増加しています。(18歳未満の子を持つがん患者は年間約56,000人。その子供の数は約87,000人)
また、がんになった親の平均年齢は男性46.6歳。女性43.7歳。子供の平均は11.2歳。(0歳から12歳までが半数を超えています)
生涯がんに罹患する確率は女性が51.2%。男性はなんと65.5%。つまり、3人に2人の時代です。
早期発見で安心ではありますが、「僅かな知識と行動で運命が変わる」。
がんの種類別発症頻度は大腸がん、胃がん、肺がん、女性は乳癌、男性は前立腺がんがトップ5位となります。
次にがんの原因についてです。
およそ生活習慣が40%、喫煙が25%、感染症が25%、遺伝を含めた未解明。
つまり「運」が10%と言われています。
多くは対策が講じられそうですね。
罹患率が5割を越えていても対策を講じることが出来るのであれば、正しい知識を持ち行動に移せばその罹患率は下げられることになります。
次回は具体的な対策についてご案内申し上げます。
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