がん検査、何歳からスタート?自分に合った受診時期を見つけよう
がん検診は何歳から受けるべきか、多くの方が疑問に感じているのではないでしょうか。
がんの種類によって受診開始年齢は大きく異なり、何歳からがん検診を始めるべきかは、性別や個人の状況によっても変わってくるのです。
また、家族歴や生活習慣によっては、一般的な推奨年齢よりも早めの受診を検討した方が良い場合もあります。
この記事では、年齢や状況に合わせて適切な時期にがん検査を受けていただくために、何歳からがん検査を受けるべきか、その種類などについて詳しく解説していきます。
何歳から?がん検査の種類と推奨される年齢
がん検査は、種類によって受けるべき年齢が異なります。
早期発見・早期治療のために、適切な年齢からがん検査を始めることが重要です。
がんの種類ごとに発症リスクが高まる年齢は違うため、それぞれのがん検査には受診開始年齢が定められています。
がん検査の種類 | 推奨年齢 | 対象性別 | 検査方法 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 50歳以上 (バリウム検査は40歳以上) |
男女 | 胃内視鏡検査 胃部X線検査(バリウム検査) |
大腸がん検診 | 40歳以上 | 男女 | 便潜血検査 |
肺がん検診 | 40歳以上 | 男女 | 胸部X線検査 喀痰細胞診 |
乳がん検診 | 40歳以上 | 女性 | マンモグラフィ (乳房X線検査) |
子宮頸がん検診 | 20歳以上 | 女性 | 子宮頸部細胞診 |
以下では、上記の表にある主要ながん検査について、何歳から受けるべきかを詳しく解説します。
胃がん検診(50歳以上)
胃がん検診の受診は50歳からがスタンダードです。
ただし、胃部X線検査(バリウム検査)については40歳以上から受診できます。
胃がんは40歳代から増加し始めるため、この年齢設定となっています。
検査方法には胃内視鏡検査も含まれます。
ヘリコバクターピロリ菌感染者や塩分の多い食事を摂る人は、胃がんには特に注意が必要です。
大腸がん検診(40歳以上)
40歳を迎えたら大腸がん検診を始めることが望ましいとされています。
検査方法は便潜血検査が一般的で、大腸の出血を調べます。
大腸がんは40歳代から増加し始め、男女ともに罹患率が高いがんの一つです。
生活習慣と深い関わりがあり、喫煙、飲酒、肥満、加工肉や赤肉の摂取過多でリスクが高まります。
肺がん検診(40歳以上)
肺がん検診は40歳から定期的な受診が推奨される検査の一つです。
検査方法は胸部X線検査と喀痰細胞診を組み合わせて行います。
特に、50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の方は、喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)も併せて受けることが重要です。
肺がんは男性の死亡数が特に多く、喫煙者は非喫煙者と比べて約3〜4倍のリスクがあります。
乳がん検診(40歳以上)
40歳以上の女性には、定期的な乳がん検診が欠かせません。
主な検査方法はマンモグラフィ(乳房X線検査)です。
乳がんは30代から増え始め、40代後半から50代前半にかけて最も多く発症します。
日本人女性の約11人に1人が生涯で乳がんにかかるとされており、早期発見が非常に重要です。
子宮頸がん検診(20歳以上)
子宮頸がん検診は、成人女性なら20歳からの受診をおすすめします。
検査方法は子宮頸部の細胞診です。
子宮頸がんは20代後半から30代後半の若い世代でも発症するため、他のがん検診と比べて受診開始年齢が低く設定されています。
主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染であり、性交渉経験のある女性は誰でも発症のリスクがあることを覚えておきましょう。
がん検査を受けるべき人の特徴
がん検査は年齢や性別に応じた受診が基本ですが、生活習慣や家族歴によってはより早期からの受診が推奨される場合があります。
ここでは、一般的な推奨年齢に加えて、がん検査を積極的に受けるべき人の特徴を詳しく解説します。
年齢による受診の目安
ここまでに解説してきたとおり、年齢はがん検査を受けるべきかを判断する重要な要素の一つです。
一般的に、がんのリスクは年齢とともに高まります。
各がん検査の推奨開始年齢は前述の通りですが、個人の状況によっては、より早い時期からがん検査を始めることが望ましい場合もあります。
家族歴がある人
家族にがん患者がいる場合、特定のがんに対するリスクが高まる可能性があります。
例えば以下の通り。
- 親や兄弟にがんの罹患歴がある場合、食道、胃、肝臓、膵臓、肺、子宮、膀胱のがんのリスクが高まります。
- 乳がんや大腸がんなど、遺伝性のがんも存在します。
家族歴がある人は、一般的な推奨年齢よりも早期からがん検査を始めることを検討しましょう。
また、遺伝子検査を受けることで、より正確ながんリスクの評価が可能な場合もあります。
喫煙者や過去に喫煙歴がある人
ほとんどの方が、喫煙が多くのがんのリスク要因になることをご存じでしょう。
喫煙歴や喫煙習慣は、特に以下のがんリスクを高めます。
- 肺がん
- 口腔がん、咽頭がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がんなど
喫煙者や過去に喫煙歴がある人は、推奨年齢になったら必ずがん検査を受けましょう。
また、厚生労働省が推し進めている禁煙支援プログラムへの参加もおすすめです。
生活習慣病のリスクが高い人
がんのリスクを高める主な生活習慣には、以下のようなものがあります。
生活習慣 | リスクが高まるがんの種類 |
---|---|
飲酒 | 口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん |
肥満 | 大腸がん、膵臓がん、閉経後の乳がん、子宮体がん、腎臓がん |
運動不足 | 大腸がん、乳がん、子宮体がん |
塩分過剰摂取 | 胃がん |
このような生活習慣に心当たりがある人は、推奨年齢に達したら必ずがん検査を受けましょう。
また、生活習慣の改善も並行して行うことが大切です。
がん検査は何歳から受けるべきか、という点については、個人の状況や特徴によって異なりますが、上記の特徴に当てはまる人は、より早期からの検査を検討することをおすすめします。
また、定期的な健康診断を受けることで、がんのリスクをより早く発見できる可能性が高まります。
がん検診の受診頻度と方法
がん検診は、開始年齢だけでなく、適切な頻度で受けることも重要です。
各がん検診には最適な受診間隔があります。
推奨される間隔で検診を受けることで、早期発見の可能性を高めながら、必要以上の検査による負担を防ぐことができます。
ここでは、各がん検診の推奨される受診間隔と具体的な検査方法を解説します。
各がん検診の推奨受診間隔
がん検診の種類によって、推奨される受診間隔は異なります。
主要ながん検診の受診間隔は以下の通りです。
がん検診の種類 | 受診間隔 |
---|---|
胃がん検診 | 2年に1回 (X線検査は年1回も可) |
大腸がん検診 | 毎年 |
肺がん検診 | 毎年 |
乳がん検診 | 2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 2年に1回 |
いずれも、がんの進行速度や検査の特性を考慮して設定されています。
定められた間隔で定期的に受診することで、がんの早期発見に役立てましょう。
各がん検査方法の詳細
がん検診でどのような検査が行われるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
はじめて検診を受ける方は、検査内容に不安を感じるかもしれません。
どのような検査が行われるのか、事前に知っておくことで、より安心して検診に臨むことができます。
各がん検診で実施される具体的な検査方法は以下の通りです。
胃がん検診
- 胃部X線検査(バリウム検査):バリウムを飲み、胃の形や粘膜の状態を調べます
- 胃内視鏡検査:口または鼻から細い管を入れ、胃の内部を直接観察します
大腸がん検診
- 便潜血検査:便に血液が混じっていないかを調べます
肺がん検診
- 胸部X線検査:肺の状態を撮影します
- 喀痰細胞診:痰の中のがん細胞の有無を顕微鏡で調べます(喫煙者など、リスクの高い人が対象)
乳がん検診
- マンモグラフィ:乳房をX線撮影し、しこりや石灰化を調べます
子宮頸がん検診
- 細胞診:子宮頸部の細胞を採取し、顕微鏡で異常を調べます
各検査とも、それぞれのがんを早期に発見できるようがんの種類ごとに最も効果的な方法が選ばれています。
がん検診を定期的に受けることで、万が一がんが見つかった場合でも、早期の段階で治療を始めることができるのです。
がん検診のメリットとデメリット
がん検診を受けることで、がんを早期に発見し、早期治療につなげることができます。
しかし、検診には利点だけでなく一定のリスクも伴います。
がん検査を何歳から受けるべきか判断する際は、これらのメリットとデメリットを理解し、年齢や個人の状況に応じて適切な検診を選択することが重要です。
ここでは、がん検診の主なメリットとデメリットを解説します。
早期発見・早期治療のメリット
がん検診の最大のメリットは、がんを早い段階で見つけ、早期治療を始められる可能性が高まることです。
がんの早期発見には、以下のようなメリットがあります。
- 治療の選択肢が広がる:早期のがんであれば、体への負担がより少ない治療法を選べる可能性が高くなります。
- 治療効果が期待できる:多くのがんは早期であるほど治療効果が高く、完治の可能性も高まります。
- 生存率が上がる:早期発見・早期治療により、がんによる死亡リスクを大きく減らすことができます。
- QOLの維持:早期治療は体への負担が少なく、普段の生活の質(QOL)を維持しやすくなります。
- 医療費を抑えられる:早期の治療は、進行がんの治療と比べて医療費を抑えられる可能性があります。
検査に伴うデメリット
一方で、がん検診には以下のようなデメリットもあることを知っておく必要があります。
- 偽陽性の可能性:がんではないのに「陽性」と判定され、不要な不安や追加検査が必要になることがあります。
- 見逃しのリスク:実際にがんがあっても、検査で発見できないことがあります。
- 過剰な診断と治療:命に関わらない小さながんや、ゆっくり進行するがんまで見つけてしまい、必要以上の治療につながる可能性があります。
- 検査自体のリスク:内視鏡検査による出血や穿孔、X線検査による被ばくなど、検査自体による合併症のリスクがあります。
- 心理的負担:検査結果を待つ間の不安や、陽性判定による精神的ストレスが生じることがあります。
がん検診の開始時期を検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で判断することが大切です。
推奨される年齢や個人のリスク因子に基づき、適切な時期に適切な検診を受けることで、がん検査の効果を最大限に活かすことができます。
何歳からでも始められる!がん予防のための生活習慣
がんを予防するために最も効果的なのは、日々の生活習慣を見直すことです。
特に若いうちから健康的な習慣を身につけることで、将来的ながんのリスクを大きく下げられることがわかっています。
国立がん研究センターの研究では、5つの健康的な習慣を実践する人は、0または1つしか実践しない人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなると報告されています。
ここでは、誰でも今日から始められる、がん予防に効果的な生活習慣を解説します。
一時的な取り組みではなく、生涯を通じて継続することが重要です。
無理のない範囲で少しずつ取り入れていきましょう。
バランスの取れた食生活
食事は私たちの健康の基盤であり、がん予防において特に重要な役割を果たします。
適切な食生活を送ることで、がんのリスクを大きく減らすことができるのです。
- 野菜や果物を十分に摂取する:抗酸化物質や食物繊維が豊富で、がん予防に効果的です。
- 赤身肉や加工肉の摂取を控える:大腸がんのリスクを高める可能性があります。
- 塩分の摂取を控える:胃がんのリスクを減らすことができます。
- 全粒穀物を積極的に摂る:食物繊維が豊富で、大腸がんの予防に役立ちます。
- オメガ3脂肪酸を含む魚を定期的に食べる:抗炎症作用があり、がん予防への効果が期待されています。
適度な運動習慣
運動は、がん予防に直接的な効果があるだけでなく、免疫力の向上や肥満予防にも役立ちます。
WHO(世界保健機関)の研究では、適度な運動習慣がある人は、運動不足の人と比べて、がんのリスクが低いことが報告されています。
- 週150分以上の中強度の有酸素運動、または週75分以上の高強度の有酸素運動を目標にしましょう。
- ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、自分に合った運動を選びましょう。
- 筋力トレーニングも週2回程度取り入れると良いでしょう。
禁煙、そして飲酒はほどほどに
喫煙は、予防可能ながんの原因の中で最も影響が大きいとされています。
一方、お酒の適量摂取は、社会生活の質を高める面もありますが、過度な飲酒は様々な健康リスクにつながります。
- 禁煙:喫煙は肺がんをはじめ、多くのがんのリスクを高めます。禁煙は何歳からでも効果があり、がん検査の推奨年齢前でも始める価値があります。
- 適度な飲酒:過度の飲酒は肝臓がん、食道がんなどのリスクを高めます。飲酒する場合は、1日あたり男性20g、女性10g程度のアルコールに抑えましょう。
検査キットや検診など定期的な健康チェック
がんの予防と早期発見は、車の両輪のような関係です。
いくら予防に努めても、定期的な健康チェックを怠ると、早期発見の機会を逃してしまう可能性があります。
セルフチェックから専門的な検診まで、自分に合った方法を選んで継続的に行うことが大切です。
- 自己検診:乳がんの自己検診など、自宅でできる検査を定期的に行いましょう。
- 市販の検査キット:便潜血検査キットなど、自宅で簡単にできるがん検査キットを活用しましょう。
- 定期健康診断:職場や地域で行われる健康診断を必ず受けましょう。
- がん検診:推奨年齢に達したら、定期的にがん検診を受けましょう。
このような予防的な取り組みは、がんだけでなく、生活習慣病全般の予防にもつながります。
たとえ今は健康でも、将来の健康を守るために、できることから少しずつ始めていきましょう。
特に、がん検診の推奨年齢に達する前から健康的な生活習慣を身につけることで、より効果的にがんを予防することができます。
参考
- 国立がん研究センターの研究について:
URL: https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/301.pdf
タイトル: [PDF] 科学的根拠に基づく – がん情報サービス - WHO(世界保健機関)の研究について:
URL: https://dm-net.co.jp/calendar/2020/029913.php
タイトル: がんリスクがウォーキングなどの運動で低下 糖尿病の人はがんの … - 適度な飲酒に関する情報について:
URL: https://www.city.tsuruga.lg.jp/smph/about_city/news_from_facility/gaibu_shisetsu/kenkocenter/ikiiki/alclholtokenkou.html
タイトル: アルコールと健康について知ろう 敦賀市-Tsuruga City-
記事のまとめ
この記事では、がん検診は何歳から受けるべきか、詳しく解説してきました。
各がん検診には開始すべき年齢が定められていますが、何歳からがん検診を始めるかは、家族歴や生活習慣によっても異なります。
早期発見・早期治療は、生存率の向上につながるだけでなく、治療の選択肢を広げ、生活の質を維持することにもつながるのです。
あなたの状況に合わせた適切な検診を選び、定期的に受診することで、がんのリスクから自身の健康を守りましょう。
がん検査と併せて、バランスの良い食事や適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることもがん予防には大切です。
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