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米政府発表を機に考えるアルコールとがんリスク ―日本人の体質特性を踏まえて―
米政府発表を機に考えるアルコールとがんリスク ―日本人の体質特性を踏まえて
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最新研究が示すアルコールとがんの密接な関係性

カンパーイ!先ずはビールで。

近年、ビール派が減り。カクテルを注文する世代が増えたとか。

そもそも、どうしてビールだったのか。好きなものや飲みたいものを注文することは多様化する現代にマッチしていると思う。

また、イッキ、イッキ、イッキと浴びるような飲ませ方や駆けつけ3杯とか。飲めない人にとっては苦痛。

人並みに飲める方では?底なしの酒豪では?

立場をわきまえず無駄にアルコールを「摂取」した時代もありましたが今では同じ「せっしゅ」でも「節酒」傾向なのかな!?

巷ではまだ強引な飲み会もあるようですが、皆さんは?皆さんの周りはどうでしょうか?

「先ずはビールで(お願いします)」このフレーズはどこから生まれたのでしょうか?

ビールメーカーがコマーシャルで普及した。居酒屋での注文はビールが多かったから。芸能人やドラマなどで流行となった。

など色々な説があるようですね。

ただ、ビールの一口目がとても美味しいのは事実です。

仕事終わり。お風呂上り。夏場は脱水症状も加味して、更においしく感じるタイミングがあります。

一歩踏み込むと「心理的要因」と「生理的要因」が複合的に影響していると言えるようです。

のどの渇きの解消。香りと風味のインパクト。仕事終わりといった特別なシチュエーションによる心理的な満足感。のどに炭酸が入り、この刺激による生理的効果。

などの要因が組み合わさり、ビール独特の一口目がおいしく感じられるために「先ずはビールで(お願いします)」となったのでしょう。

アルコールの「百薬の長」説を再検証する

アルコールの「百薬の長」説を再検証する

さて、ここからはアルコール摂取における健康課題について近年の研究で分かったこと。従前から分かっていながら社会に知れ渡ってこなかった情報について紹介致します。

今までは社交の場で断れなかった飲酒のお付合いについて、これからはご自身の生活や体質に応じた飲酒が出来る時代となったため是非学んで頂ければと存じます。

先ずは「アルコールは百薬の長」。このフレーズはまだ解明されていないようです。

「アルコールは百薬の長」という言葉は古くから使われており、適量のアルコール摂取が健康に良い影響を与えるという考えを指します。

しかし、この考え方には賛否があり、現代の科学的知見では一部の条件下では有益とされる場合があるものの、リスクがあるため慎重な評価が必要とされています。

例として、食前酒は血行を良くして食を進める。

しかし、食前酒のわずかな量で我慢できないことが大量摂取につながり、デメリットが大きく上回る。という事ではないでしょうか。

アルコールの良い影響とされてきたこと

この他にもアルコールの健康へのポジティブな影響(適量の場合)として、心血管疾患リスクの軽減について適量のアルコール摂取(特に赤ワインに含まれるポリフェノールなどの成分)は、心血管疾患のリスクを低減する可能性があります。

この作用機序(メカニズム)はHDLコレステロール(「善玉コレステロール」)を増加させる。血液の凝固を抑え、血栓形成を防ぐなど。

次にリラックス効果について。

アルコールには中枢神経を抑制する作用があり、適量摂取でストレスを軽減することがあります。

また、社会的つながりとして適度な飲酒は、社交場での交流を促進し、心理的な幸福感に寄与する場合があります。

アルコールによる健康被害

一見よさそうに見えるお酒(アルコール)ですが、デメリットについてはどうでしょうか。

健康被害としてアルコール関連疾患のリスクは飲酒量が増えるほど、以下のリスクが高まります。

がんで言うと「食道がん」「肝臓がん」「乳がん」など。

アルコールに含まれるアセトアルデヒドは国際がん研究機関(IARC)によって「発がん性物質」と分類されており、特に食道の粘膜にダメージを与え、がんの発生リスクを高めます。

この他にもアルコール性肝炎や肝硬変。

過剰摂取で心不全や高血圧のリスクが増加。適量とは正反対のリスクです。

さらにアルコール中毒。たばこのニコチン中毒と同じ中枢神経系への影響です。

つまり、アルコール依存症。

飲酒を繰り返すことで依存症のリスクが高まり、生活や健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

長期的な過剰飲酒は、うつ病や不安障害のリスクを高めます。

前述した「百薬の長」は本当か?

最新の研究結果と健康政策の変化

科学的見解から適量飲酒の一部のメリットが研究で示唆されているのは事実ですが、近年の研究では次のような見解が強まっているようです。

少量でもリスクがある。がんや心血管疾患のリスクは完全にゼロにはならない。健康効果を過剰評価してはならない。

アルコールに頼らず、運動やバランスの良い食事で同様の効果が得られます。王道を選びたいものです。

健康政策の変化として世界的に、「アルコールを完全に健康に良いものとみなすべきではない」という動きが強まっています。

一部の国では、少量の飲酒であっても推奨しない方針が採られています。

これらから結論を申し上げると、「アルコールは百薬の長」と言えるのは、一部の条件下で適量を守った場合に限られそうです。

ただし、現代の知見では「アルコールを飲まない方が健康には良い」とする意見が増えてきています。

飲酒を楽しむ際には、自分の健康状態や適量をしっかり理解し、無理のない範囲で楽しむことが重要です。

ここまでは一般的な情報の再確認です。

東アジア人特有のフラッシング反応とその危険性

東アジア人特有のフラッシング反応とその危険性

次に注目すべきは個体差(個人差)を知っておかなくてはなりません。

生理学的なフラッシュ(フラッシング反応:Flush Reaction)があります。

中国、韓国、日本人の東アジアの人種特有で国民のおよそ4割が該当すると言われています。

この該当者は、「一定の条件で百薬の長」とは言えないため「留意」レベルではなく「注意」が必要です。そもそも飲んではいけない人です。

症状の一例ですが、皮膚が一時的に赤くなる現象。顔や首、胸などに見られることが多いです。

フラッシング反応とは何か

この原因はアルコール飲酒時に顔が赤くなる現象はアジア人に多いアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の活性低下が関与しています。

フラッシング反応のメカニズムはアルコール代謝の流れとしてアルコール(エタノール)が体内でアセトアルデヒドに分解されます。

その後、酵素「アルコール脱水素酵素(ADH)」が関与し、アセトアルデヒドは酢酸に分解されます。

酢酸は最終的にエネルギーや水、二酸化炭素に分解され、体外に排出されます。

フラッシング反応の原因はアルデヒド脱水素酵素(特にALDH2)の活性が低い場合、アセトアルデヒドの分解が不十分になるためです。

アセトアルデヒドの蓄積により、血管が拡張して顔が赤くなります。

フラッシング反応の特徴は顔や首、胸が赤くなる。頭痛、吐き気、動悸、めまいなどを伴う場合があります。

その影響はアセトアルデヒドは有害物質であり、発がん性物質とされています。

フラッシング反応が起こる人は、食道がんや胃がんのリスクが高いことが研究で示されています。

アルコール耐性とフラッシング反応について、アジア人の約4割はALDH2の活性が低い(不活性型または低活性型遺伝子を持つ)ため、フラッシング反応が起こりやすいとされています。

参考までに西洋人ではこの酵素の不活性型を持つ割合が少ないため、フラッシング反応はあまり見られません。

ではフラッシング反応と健康リスクについてどうでしょうか。

フラッシング反応がある人は、アルコール摂取を控えることが推奨されます。

アセトアルデヒドの蓄積は長期的に健康リスクを高める可能性があります。

少量でも反応が出る場合は特に注意が必要です。

フラッシング反応は、アルコール代謝に関与する遺伝的な酵素の活性によるもので、飲酒時の体内の変化として現れます。

この反応は見た目だけでなく、長期的な健康リスクにも関わる重要なサインですので、飲酒を避け、自分の体に合ったお付合いを心がけなくてはなりません。

フラッシング反応による健康リスク

アルコール摂取時にフラッシング反応(顔が赤くなる現象)が起こる人は、食道がん(特に扁平上皮がん)のリスクが著しく高いことが、複数の研究で示されています。

以下に具体的なリスクの情報をまとめます。食道がん罹患リスクの統計です。

フラッシング反応がある人がアルコールを飲むと、食道がんのリスクが10~12倍以上に増加するという報告があります。

飲酒量が増えるとリスクがさらに上昇し、毎日3~4杯以上の飲酒習慣のある方の場合は50倍以上に達する可能性があるとも言われています。

通常医学の世界ではリスクが1.2倍など0コンマいくつ上昇することが有意な差を持って危険とされます。ここでは0コンマいくつではなく、10倍とか50倍。

極めて大きなリスクです。

これを知っても飲酒する人は自殺行為と言え、お酒を進める人は他殺行為と言えます。

お酒を勧める側の法的責任から考える

実はこのことに関連して道路交通法を思い出してください。

お店や友人が飲酒運転を助長したり、誘発したりする行為(具体的には注文を受ける。その場に同席する)は違法とされています。

「飲酒運転のほう助」として共に処罰対象になります。

民事責任として飲酒運転事故が発生し、第三者に損害を与えた場合、お店や同席した友人などが損害賠償責任を問われます。

共犯としての刑事責任まで。

飲酒運転による事故が重大な結果をもたらした場合(例えば死亡事故など)、友人が飲酒を強く勧めたことが因果関係として認められると、危険運転致死傷罪の共犯として責任を問われる可能性があります。

このように飲めない人にお酒を進めることはハラスメント以上の厳罰を受ける危険を伴います。

ちなみに自転車でも違法ですので交通ルールのレベルから情報を更新する必要があります。

体質的リスクを持つ人の予防と対策

この様な体質の方における予防については、個体差が大きいため、一般論となりますがポイントを述べます。

飲酒を控える。フラッシング反応が出る人は少量でもリスクがあるため「禁酒」が推奨されます。

定期的な検査として内視鏡検査などで早期発見を目指しましょう。

健康的な生活習慣としてタバコや過度の塩分摂取も食道がんのリスクを高めるため、これらを避けることも重要です。

ちなみに食道がんのリスク者は体質の他に、飲酒。喫煙(受動喫煙含)。

辛い物好きが主な原因ですのでこの段階で読者はご自身のリスクについて大まかな判断が出来ることでしょう。

まとめます。フラッシング反応がある人は、アルコールによるアセトアルデヒドの蓄積で食道がんリスクが大幅に増加します。

このリスクは飲酒量に比例して上昇するため、可能な限り飲酒を控え、定期的な検診を受けることが健康維持に繋がると言えます。

人種別の割合

国際的にはどうでしょうか。参考までに人種別の割合をご案内致します。

アジア人 日本、中国、韓国など東アジア系の人々の約4割がALDH2の機能低下または不活性型の遺伝子を持っています。
ヨーロッパ系人種 ヨーロッパ系の人々では、ALDH2の不活性型遺伝子を持つ人はほとんどいません。割合は1%以下と推定されています。
アフリカ系人種 アフリカ系の人々では、ALDH2不活性型遺伝子は稀であり、フラッシュ反応を経験する人はほとんどいないようです。
南アジア系人種 インド亜大陸の人々では、ALDH2不活性型遺伝子を持つ人は比較的少ないですが、一部でフラッシュ反応が報告されているとか。
先住民族
(アメリカ、オセアニア)
一部の先住民族でもアルコールに対する感受性が高い場合がありますが、フラッシュ反応の割合はアジア人ほど高くないようです。

アルコールの適正飲酒量に関する最新指針

アルコールの適正飲酒量に関する最新指針

さて、近年発表されたお酒(アルコール)の適量(指針)についてご案内致します。

性別による適正飲酒量の違い

日本(厚生労働省)の指針では純アルコール1日量は20g程度までとされています。

発症率1位で死亡率2位の大腸がんの場合は、1日当たり約20g(週150g)以上の量の飲酒を続けると男女ともに発症の可能性が高まると言われています。

生活習慣病のリスクを“高める”飲酒量として、1日当たりの純アルコール摂取量が「男性40g以上」「女性20g以上」という基準をWHOも同様に示しています。

これ以上の飲酒は、慢性疾患や依存症のリスクを高める可能性があるとされています。

女性とアルコールの特殊性

女性のアルコール摂取量が男性に比べて少なく設定されている理由は何故でしょうか。

お酒好きには納得いかないですよね。

以下生理学的な違いが主に関係しており、以下のような要因があるためです。

1. 体内の水分量の違い

男性は体重の約60%が水分で構成されていますが、女性は約50%と少なめです。

アルコールは体内の水分に溶け込むため、同じ量を飲んでも女性のほうがアルコール濃度が高くなりやすいです。

2. アルコール分解酵素の量の差

アルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素)の量が、女性の方が少ないとされています。

そのため、女性はアルコールの分解が遅く、血中アルコール濃度が高くなりやすいのです。

3. ホルモンの影響

女性ホルモン(エストロゲンなど)はアルコール代謝に影響を与えることがあります。

例えば、生理周期や妊娠中はアルコール代謝が遅くなることがあります。

4. 体重の違い

一般的に女性は男性よりも体重が軽い傾向があります。

体重が軽いと、同じ量のアルコールを摂取しても血中アルコール濃度が高くなりやすく、影響が大きくなります。

5. アルコール関連疾患のリスク

女性は少量のアルコール摂取でも、肝疾患やがんのリスクが高まることが示されています。

例えば、アルコール性肝炎や乳がんのリスクが男性よりも高いことが知られています。

6. アルコール依存症への感受性

女性は、同じ量のアルコールを飲んでも、依存症になるリスクが男性よりも早い段階で高まることが研究で示されています。

これらの生理学的な違いにより、女性はアルコールの影響を受けやすく、健康被害のリスクも高まるため、摂取基準が男性よりも低く設定されています。

これを守ることで、健康リスクを最小限に抑え、アルコールを安全に楽しむことが可能になります。

純アルコール量の計算方法

次に「純アルコール摂取量を計算」するには、以下の式を使用します。

純アルコール量(g)=飲酒量(ml)×アルコール度数(%)×0.8

計算式中の0.8とは。アルコールの「比重」が水より軽く、1mlあたり約0.8gであることを反映した「係数」です。

例:ビール500ml(アルコール度数5%)の場合

純アルコール量(g)=500ml×0.05×0.8=20g

他の飲料での例

ワイン200ml
(アルコール度数12%)
200ml×0.12×0.8=19.2g
日本酒180ml
(アルコール度数15%)
180ml×0.15×0.8=21.6g
ウイスキー60ml
(アルコール度数40%)
60ml×0.4×0.8=19.2g

この計算式は純アルコール量を算出するものであり、健康への影響や飲酒適量を判断する際の一般的な「基準」として使われます。

個人に合った適切な飲酒量を守りましょう!

健康的に飲酒を楽しむためには、ガイドラインを守り、自分の体調や状況に合わせて量を調整することが大切ですね。

注意事項

注意事項

個人差

年齢、性別、体重、体質などによりアルコールの影響は異なります。飲酒量の基準はあくまで参考値です。

飲酒を控えるべき場合

妊娠中、授乳中、未成年、薬を服用中、運転前など、特定の状況では飲酒を完全に控えるべきです。

長期的な健康リスク

アルコールは多量摂取や長期間の飲用によって、肝疾患、心血管疾患、がんのリスクを高めることが確認されています。

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柏木久史
柏木久史
株式会社MEDICARE LIGHT 代表取締役
世界に誇れる日本の医療制度。その架け橋として新しい予防システムに挑戦します。健康が我が国の価値を決定づける大きな要因は、そこに住む市民が、そこで働く職員が健康であるかどうかがその都市や企業の価値を決めていく大きな要因になる。そして世界195ヵ国81億人の人々の健康のために。「その場で。簡易で。廉価」な検査キットを提供して参ります。
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