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がんコラム「がんの罹患原因が徐々に判明」(第3回) メディケアライト柏木久史
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がんの主な原因とその予防法を、最新の知見を交えて包括的に解説

日本は先進国の中で極めて「癌」の発症が多い国です。通称「がん大国 日本」。

ではどうしてこんなにも多くがんが発症するのでしょうか。その原因が判明してきました。

がんは様々な要因によって発症していると考えられており、公的サイトを確認すると、喫煙、飲酒、食物・栄養、身体活動、体格、感染、化学物質、ホルモンなどが挙げられています。

がんは「細胞の経年劣化」と言われていますので、寿命の延伸に伴い、高齢化によってがんの発症が増えるのはうなずけますが、近年女性特有のがんは若年化してきています。

各種研究により「科学的根拠に基づくがん予防」についてわずかな知識と行動で運命が変わると言える時代になりました。

早速ですが、「たばこ」が肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となることは科学的に明らかにされています。

また、たばこを吸うと、本人だけでなく、吸わない人にも健康被害を引き起こします。

昔は受動喫煙と言われていましたが、現在ではファースト・ハンドスモーク。セカンド・ハンドスモーク。サード・ハンドスモークと言われています。

概ね理解できるかと存じますが、ファースト・ハンドスモークとは喫煙者自身のこと。セカンド・ハンドスモークとは受動喫煙のこと。

はて!?「サード・ハンドスモーク」とは何でしょうか?

「三次喫煙」と言います。かみ砕くと、たばこを消した後に残留する化学物質を吸入することを言います。

具体的に言うと、喫煙者は肺に吸い込んだ有害な化学物質について1本の喫煙でおよそ45分ぐらいかけて肺から咳や会話など断続的に飛沫などで体外に排出し、喫煙者の毛髪や衣類以外にも部屋の壁、カーペット、ソファー、カーテンなどの表面に付着して残留することが知られています。

それが反応、再放散したものが汚染源となり、三次喫煙が発生すると考えられ、特に部屋や車などで過ごす時間の長い乳幼児などへの影響が懸念されています。

乳幼児は「はいはい」しながらフィルターを通さず、直接有害な化学物質を摂取。

しかも体重が大人の何倍も小さいため、その影響はとても大きいと考えられます。

たばこ、電子タバコ、加熱式たばこ、これらは本数(容量)依存的に有害度が増すものではありません。

たとえどんなにわずかでもこれら有害な化学物質を摂取することで急激に危険性が発生します。

乳幼児であればなおさらです。

残念なことに、たとえ、窓を閉めてベランダでたばこを吸っていても、窓の隙間の気圧で煙が部屋に入ってきています。

その後、体の自浄作用で更に有害物質を大切な家族や仲間にまき散らしているのです。

よって、本数を減らしたでは効果は低く、やめるしか選択肢はありません。では、たばこをやめるとどんな変化が現れるのでしょうか。

  • 1分禁煙するとたばこのダメージから回復しようとする機能が働き始めます。
  • 20分で血圧は正常近くまで降下。脈拍、手の体温が正常まで戻ります。
  • 8時間で血中の一酸化炭素レベルが正常域に戻り、血中酸素分圧が正常になり運動能力が改善する。
  • 24時間で心臓発作の確立が下がる。
  • 48時間で臭いと味の感覚が復活し始める。
  • 48-72時間でニコチンが体から完全に抜ける。
  • 72時間で気管支の収縮が取れ、呼吸が楽になる。
  • 2-3週間で体の循環が改善する。歩行が楽になる(30%回復)。
  • 1-9か月で咳、静脈うっ血、全身倦怠、呼吸が改善。
  • 5年で肺がんになる確率が半分に減る。
出典:職場のたばこ(喫煙)対策

出典:職場のたばこ(喫煙)対策

「飲酒」についてはどうでしょうか。

「飲みすぎは肝臓がんになる」。いまや都市伝説です。

誤りではないですが、公的サイトの記述をみると、飲酒は口腔、咽頭、喉頭、食道、大腸、肝臓、乳房のがんのリスクを上げる、と報告されており、飲酒により体内に取り込まれたエタノールは、動物での発がん性が示されているアセトアルデヒドに代謝されるため、がんの原因になると考えられています。

また、飲酒は、免疫機能を抑制するとともに、エストロゲン代謝へ影響を及ぼすこと、食事が偏り栄養不足につながることから、がんの原因となることも報告されているようです。

なお、喫煙者が飲酒をすると、食道がんやがん全体の発症リスクは極めて高くなること(交互作用)がわかっています。

加えて、「フラッシュ」(飲むと顔が赤くなる)方は、アルコールの有害物質の代謝が出来ないためリスクが更に増大します。

飲酒の前に胃粘膜と作り胃壁を保護するために牛乳を飲まれる方もいますが、牛乳が胃に粘膜を作るのはほんの数分ですし、そもそも、アルコールは小腸で吸収されるので、期待するほどの効果はなさそうですね。

「食物・栄養」についてはどうでしょうか。

3食のバランスが重要なのはご存じですね。今回はピンポイントに塩分について述べます。

塩分は血圧を上昇させます。

実は日本人の4,300万人が高血圧です。

また、糖尿病の進行に伴うCKD(腎障害)のコントロールはカロリーコントロールよりも塩分コントロールが重要との研究もあり、生活習慣病の増悪が免疫機能を下げてがんを併発しやすくなる。

さらに高濃度の塩分は胃粘膜を保護する粘液を破壊し、胃酸による胃粘膜の炎症により、H.ピロリ菌を活性化させ、胃に症状を惹起(引き起こす)させます。

これにより、胃がんのリスクも高まります。胃がんはH.ピロリ菌による感染症ですので詳しく後述致します。

身体活動について。言い換えれば運動です。

メタボリックシンドローム対策としては週に2回程度30分以上の軽く汗をかく運動が求められています。

あらゆる観点で健康保持増進に対しては1日1万歩が好ましいようです。

スポーツにおいて寿命を延ばす研究報告では間歇(かんけつ)的運動。動いたり止まったり。つまり、テニスが良いようです。

何を目的に運動するのかにより、スポーツの種別(ランニングor水泳orテニス、バドミントン、サッカー、野球etc)は異なるようです。

「体格」と言えば、まずは「肥満」。

特に成人後の体重増加は要注意です。

意外と知られていない高身長。肥満が発がんに及ぼすメカニズムは多様であるためここではと説明しきれないです。

一方で、日本人などのアジア人を対象とした研究結果からは、やせすぎによってがんのリスクが上がることが観察されています。

これは、栄養不足に伴う免疫機能の低下や、抗酸化物質の不足などによるものと推察されます。

「感染」ってなじみないですね。しかし、がんの原因の1位は感染です。

今までは「たばこ(喫煙)」が、がんを引き起こす原因の1位でしたが禁煙運動(就業中の喫煙禁止、喫煙所撤廃などで徐々ではありますが、減ってきているようです。

これに変わり、稀少を含め200種類もあると言われている癌の中で3つの癌が感染症由来と判り、およそがん発症原因の四分の一と原因の1位となりました。

科学的根拠に基づきWHOや専門学会(専門医)含め検証された情報です。

具体的には子宮頸がん、肝臓がん、胃がんです。日本のがん検診は二次予防。つまり、がんを早くに見つけて治療する。

しかし、先進諸外国では一次予防。つまり、がんにならない対策を講じています。

肺がんはたばこを吸わない。受動喫煙を受けないことで肺がんを予防することが出来るように、子宮頸がんは100%HPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。

肝臓がんの6割から7割はB型肝炎ウイルスかC型肝炎ウイルスによる感染。

胃がんはピロリ菌感染が98-99%と言われていることはご存じかと思います。

稀少なところでは他にもあるようですが今回はとても多くの罹患者と死に至る社会問題の3つの感染症に限り紹介致します。

子宮頸がんは30代が発症のピークです。

女性特有のがんは若年化をしていることをご存じでしたか。詳細は次号に経緯や状況を更に詳しくお伝えします。

20歳を過ぎ、社会に出たら検診を定期的に受診して頂きたいです。

ヒトパピローマウイルスは自然治癒もしますので過剰に不安がってはいけません。

ただ、晩婚化高年齢出産の昨今、子供が出来て新しい生活が始まろうとした直後に人生を終えることの無いように。正しい知識をもって頂ければと存じます。

次に感染症由来の肝臓がんについて、その多くはB型肝炎ウイルスかC型肝炎ウイルスによる感染です。

現在の公衆衛生では日常で感染することはないと言われています。

ただ、感染をしているかどうか症状がないためその多くは感染の有無を知らずにいらっしゃいます。よって、生涯に1回。

つまり、今、感染の有無を確認しておくことで、肝臓がんを含む肝硬変など重症化を抑えることが出来るので、是非検査をして頂きたいです。

最後に胃癌はH.ピロリ菌感染です。これはウイルスではなくバクテリア(細菌)感染です。

幼少期に感染して現在に至ります。大人は感染しないと言われていますので、この検査も生涯に1回の検査となります。

胃の症状は全てピロリ菌が原因の様です。

全国3,500万人が感染しており、既に1,000万人国民が除菌を終えていますので、すぐに検査をすることをお勧めいたします。

この他にもお仕事などで有機溶剤を扱うなど120種類もの「化学物質」やこれに関わる職業が上げられています。

最後に「ホルモン」。通常では治療で注射や服薬が挙げられますが医師によりコントロールされていれば安心ですね。

このような情報は学生の教育現場で習うことはなく我々は大人になったことからわが国民のヘルスリテラシーが低いことが分かりました。

「ヘルスリテラシー」とは、「健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力」です。

政府が行った調査15か国において日本は最下位の15位でした。

これを受け、政府は学習が重要であるとし、中学生や高校生の学習指導要綱に加えました。

これにより、啓発活動が進み多くの情報を知り、理解した大人社会になることでしょう。

近年、がんの原因で最も多いのが「感染症」とわかりました。詳細は次号に掲載致します。

出典 : がん対策推進企業アクション ポストコロナのがん対策Vol.3

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柏木久史
柏木久史
株式会社MEDICARE LIGHT 代表取締役
世界に誇れる日本の医療制度。その架け橋として新しい予防システムに挑戦します。健康が我が国の価値を決定づける大きな要因は、そこに住む市民が、そこで働く職員が健康であるかどうかがその都市や企業の価値を決めていく大きな要因になる。そして世界195ヵ国81億人の人々の健康のために。「その場で。簡易で。廉価」な検査キットを提供して参ります。
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